大学で専門教育を終え、国家試験を経て晴れて大学での教育が生きる学科がある。
医学科、歯学科、薬学科、獣医学科など、医療系学科が多い。
それでは、国家試験の合格率はと言えば、医学部は一番合格率が低い大学でも9割近くが合格しており、最近の医学部人気で、医学部が難化している影響からか、何となく国家試験の合格率は昔に比べ高くなっている気がする。
一方で、薬学部はと言えば、とうとう、姫路獨協大学が募集停止に追い込まれ、淘汰の時代が始まったのである。
姫路独協大学は、47人入学して免許が取れたのが7人という結果で、その結果だけみれば、募集停止になるのはやむを得ない気がする。
それでは、歯科医師についてはどうだろうかと言えば、入学者に対して免許取得者が恒常的に5割を切っている大学がある感じである。
そして、感覚的なものだが入学者に対し5割の免許取得者にとどまると定員割れなどを起こし始める感じである。
医学部、歯学部の場合、私立では最低2000万円、薬学部、獣医学部でも1500万円ほどは必要になり、他の大学に比べ学費が非常に高額になっているが、それは、免許が取れてこその学費であって、免許が得られなければ、高いお金を出して医学部や歯学部、薬学部に獣医学部に行く必要はない。
姫路獨協大学の募集停止、実は、医療系大学では相当な危機感が出たのではないかと思われる。
というのも、某獣医学部もかなり学力向上に力が入ってきている感じらしい。
以前は、医療系学部は作れば儲かるような感じであったが、最近は、国家試験合格率にかなりシビアで薬学部、歯学部では負のスパイラルがおき、学力不足で入学する、国家試験に合格しない、偏差値が下がる。これを繰り返しているようである。
獣医学部については、薬学部や歯学部のように、免許取得者が食べるのに困る状況ではないので、まだ、そこまで偏差値が下がっていくリスクは少ないと考えられる。
薬剤師や歯科医師という仕事で、仕事を選ばなければどの水準で食べていけるか、それが一つのバロメーターになるのではないかと思う。
獣医師の場合、労働市場では3割~4割の公務員としての働き口が用意されており、現在の労働力の供給量からすれば、安定した就職先が保証されている場合、学力はそれほど下がらない、結果として国家試験に合格できる学力を持った学生が集まるというサイクルにっている感じがする。
もちろん、ペット系の獣医師はかなり飽和状態だが、関東近郊でも公務員獣医師などの募集はあるので、仕事さえ選ばなければ50歳で年収800万円とかは可能な感じである。
就職するとき、どうしても最高年収に目が行きがちだが、本当に見なければいけないのは、年収のボリューム層がどこにあり、就職先を選ばなければ免許を生かしてどのぐらいの給料がもらえるか、ここが重要ではないかと思う。
獣医師の価値が値崩れするのは、どのぐらいまで定員を増やすと起きるか、感覚的には、新規免許取得者が2000人を超えれば、恐らく薬学部や歯学部のようになるのではと思う。
定員が今の倍になれば、定員割れの大学が生じたりし始めるのではと思う。
結局は、労働市場における需給バランスが崩れてくる、一般の大学より優れた給料が保証されないと、いかに国家資格を持った職業であっても定員割れが起きる。
給料面での優位性が、医療系学科の難易度の裏付けなので、それが失われると当然、志願者はいなくなる。
国家試験の合格率の低下は負のスパイラルへの一歩なので、獣医学部にそんな事が起きないようにと思っている。