2人は同棲生活を送っていました。
これまでも頻繁にお泊まりはしていたので、何かが劇的に変わるわけではありませんでした。強いて言うなら青年の残業時間がいつもより減ったことぐらいでしょうか。
もう少しだけ…もう少しだけ2人の日常を続けましょう。
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街中で手を繋ごうとする青年
『はっ!?ダメだよ!!』
「?」
『主ちゃんの知り合いに見られたら主ちゃんに迷惑かけちゃう!』
「なるほど、誰にも秘密だもんな!!」
『そうなの!!』
数分後…
「あの、けーちゃん?」
『なーにー?』
「手繋いでるけどいいの?」
『えっ!?いつの間に!?』
「けーちゃんから繋いで来たぞ」
『これは危険ですね…』
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『うー、お外寒いねー!』
「そうだねー、早く春来たら良いのにねー」
『…それはやだ』
「あ…」
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「何してるの?」
『LとRの発音を聞き分けるアプリ!実は主ちゃんは留学経験があって英語ペラペラなのだ。でもわっちはダメだ。それが悔しい。だから勉強中!」
「(あと数週間の命なのに…健気だなぁ)」
『青年しゃんもやる?』
「よかろう、TOEIC600超えの実力を見せてやろう」
アプリ音声〈プレェイ〉
「playだな、間違いない」
『じゃあわっちはprayで』
アプリ画面 〈正解は pray でした〉
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海鮮居酒屋にて
「これがカニですよ」
『おー!カニ!!初めて食べる!!』
「召し上がれ!」
『もぐもぐ…これは!?』
『美味い!!けーちゃんはカニを覚えた!テッテレー』
「じゃあウニはどう?」
『もぐもぐ…これは!?』
『おいしくない…』
「www」
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「ところでけーちゃん?」
『なんだい?ごしゅじん』
「出会った時、私は人を好きになれないって言ってませんでした?」
『…うるさい』
「で、今はどうですか??」
『うるさいうるさい!!だって仕方ないじゃん…!!』
『…初恋だったんだもん。』
「4歳児ですね」
『4歳児だよ!!』
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『あー、このビビアンのマフラー可愛いなぁ…』
「買わないの?」
『ほら、基本的に衣類は主ちゃんの物を着るしかないのさ。主ちゃん、アバンギャルドな服ばっかりだからコーディネート困るのよね』
「ふーん」
後日、、、
「はい、これプレゼント」
『!?』
「お外寒いからね。ちなみに俺も違うデザインのビビアンのマフラー買ってきたからお揃いだよ」
『青年さん…』
「これからずっと大事に使うんですよ?」
『うん!!』
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『おのれ主ちゃんめ』
「どうしたー?」
『タバコ吸おうと思ったら箱の中身だけ入れ替わってた!』
「仲良いですね君たち」
『メンソールむせた!』
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主ちゃんの家の引越しお手伝いにて
「これは何とも…生活感がすごい…お部屋ですね」
『こちらが修理費2万円を請求された割れた洗面所です』
「無造作に置かれたこれは?」
『ローターですね』
『わっちのじゃないよ?』
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『わっち、花魁言葉好き!』
『まさに私向けの言葉!』
「(明るい自虐だなぁ)」
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『あのね、青年しゃん?』
「ん?」
『軽蔑するかもしれないけど実は私…売りもやってたことあるの』
「へぇーそうなんだ。さ、寝るよ」
「(今さらそんな事で軽蔑なんてしないっての)」
「(むしろ、それだけ主ちゃんのために頑張ってきたってことだよ…)
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『実はこの間、主ちゃんが飲み会に行ってる時にちょっと身体を拝借して、わっちのこと知ってる知人にさよならの挨拶を告げてきました』
「あら、そういう人もいたんだね」
『うむ、解離仲間である』
「他の人には挨拶終わったの?」
『後は青年さんだけだよー』
「あら、最後は俺で良かったのかね?」
『青年さんだから最後がいいの』
「そっか…任せておけ。しっかり見届けるからな」
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2人は同じ時を歩みます。
残された時間を…一分一秒も無駄にしないようにと。
そんな中、けーちゃんが提案しました。
『ねぇねぇごしゅじん!わっち、旅行というものをしてみたい!!』
『3/23、24の土日で1泊2日!遊園地行って、ペンション的な所で泊まるの!!』
「おお!いいね!行こう!!3/25は有給取っておくから、思う存分遊んでこよう!!」
ついに2人の最後の時が近づいてきました。
最初に出会ったのが1月初旬。
そこから絆を深めて、愛を育み…
短い期間ではありましたが、2人をみていると恋愛に時間は関係無い。そう思わせてくれますね。
物語も残りわずかとなりました。
ここまでお付き合いいただいた皆様には誠に感謝申し上げます。
引き続き2人の運命を見守りいただければ幸いです。