「語学の天才まで1億光年」高野 秀行
語学と共に歩んだ人生の記録集でした。次々に新しい言語を現地の人と親しくなる手段として学習していく情熱はすごい!
ただ、親や親せきから見たら 将来を危ぶまれることだろうと思いました。そういう点では無難な人生を選択しがちな中に 冒険心のままに動いている様が 多くの人にないものを感じさせて書籍になるんだろうなあと思いました。
語学とは学問ではなく技術の習得ということに徹していますが、あまりにも数多くの言葉に接するとちょっと学問したくなるのか分類学的な文章もありました。そこがまた面白く感じました。方言なのか、独立した言語なのかの識別は難しい。
美しい言語や美しくない言語というのはない。どの言語もみな美しい。言語の美しさというのは完成された体系が持つ調和の美しさ。そして、膨大な語学経験を通して得たものが「人間はみな同じなんだな」というのがこの本の集約であるように思いました。
言葉は道具であり、人との関係において魔法のようにも働く。コミュニケーションは共働作業。言葉を使う時「正しさ」にこだわる人はない。
語学と「マンガ」は相性がいい。ただし、活字で書かれていないと判読が難しい。
教えてもらった文法事項はなかなか覚えられないが、“自分が発見”したことは忘れない。→発見に至るまでの努力の過程が覚えることに貢献もしています。例えば、私自身お金を使わずにやろうとするために、テキストなしでラジオの英語講座を聞くときには聞き取ったことをメモしながらでしたし、自分で問題を作ってみたり、単語帳を自分で作ったりしていました。そういう過程も勉強になっていたなあと思います。
言語特有の「ノリ」。→どの言語を使うかによって、性格も変わりそう。
その言語を使う人の世界観や言語観というのが背景にある。
学ぶものにとってひじょうに重要な要素が“飢え”。“飢え”は主体性を生む。
こんにちは、ありがとうなどのあいさつ語がない文化。親密な者しか存在しない前近代的な社会ではそういう言葉は必要ないらしい。そういう点では「友だち」も文明語。
AIの発達した中での語学学習の意義については「親しくなるための言語」としてじかに触れあえるツールとして語学を学びたくなる。
人間の言語の共通点:二人称代名詞(あなた)ではなく、名前や「おにいさん」みたいな呼び方をする。アクセントや音の高低で区別する。使用頻度の高い同氏は不規則変化しやすい。