「お坊さんでスクールカウンセラー」坂井祐円 | ひめぴょんのブログ

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岩国在住です。ここでの生活の中での楽しみをご紹介できたらと思っています。せっかくなので、行こうと計画中のイベント情報などもupすることにしてみました。

「お坊さんでスクールカウンセラー」坂井祐円

生きているものは必ず死ぬ。その事実から出発しているのが仏教。カウンセリングは人間に話すことで何かを変えようという手法。実証の世界ではなく、実感の世界。心の現実として起こっている出来事をむやみに否定せず、その物語に寄り添いつつ進めていく。と書かれている。

お坊さんでスクールカウンセラーもしている著者がお坊さんとしてのエピソードも交えながら、学校現場で対応した実例を紹介している本。白血病になった看護学生、自死した中学生の担任、中学生の息子を事故で突然亡くした母、不当脳の中学生の母、厄介な生徒が発端になって学級運営がうまくいかないと悩んでいる先生など。それぞれ自発的、もしくは促されてカウンセラーの元を訪れている。誰かに話を聞いてもらいたい気持ちになったとき、カウンセラーに聞いてもらったら、他の人に聞いてもらうより何かきっと今の状態を改善する近道になると思うが、この本を読む限り特別な何かをしたわけでもない。人に聞いてもらうことで、時が満ちて解決していったようにも見える。時が満ちるまでの伴走者のような印象を受けました。

以下は文中引用、エピソードとミニ感想です。

白血病になった看護学生は病気と闘うではなく、「いのちより大切なもの」という言葉に出会い、それに心を向けることでいのちへのこだわりから抜け出せて、静かな気持ちになった。→星野富弘さんの詩。ことばは出会うタイミングで非常に大きな影響を与える。いのちへの執着から解放されて、いのちも大切だけどという観点を持てると穏やかになれる。

自殺した生徒にまつわる人でカウンセラーのところに来る人は、誰かが近くにいることを静かに欲している。

「死の床にある人、絶望の前にある人を救うことができるのは、医療ではなくて言葉である(池田晶子)」→医療が状態を改善できることは限られている。言葉はけっこう強い力を持つ。そういうことを実感することはある。

幽霊を見た人を例に。わからないことには、なるべく謙虚な姿勢で向き合った方がよい。→全否定しない姿勢は大切にしたい。

雲や霧に覆われていても、太陽の光はその上で輝き続けている。→だからこそ、時を待てば陽が見える!

問いを問いとして引き受けることを教えてくれたのが仏教という道しるべ。問い続けることでいつの間にか心を解きほぐしてくれる。→正解はない問いへの向き合い方を示してくれている気がします。

問題を引き起こした原因の中には取り除くことが難しい原因もあるし、取り除いても状況が変わらないこともある。どうしたいのか、何ならできるのかを探って行動することも解決につながることがある。

考えても仕方のないことを考えてしまう。そんな時間も時が満ちれば落ち着くところに落ち着く。