「悲しみのゴリラ」ジャッキー・アズーア・クレイマー、クレヨンハウス、2020年発行
悲嘆にくれるお葬式の絵から始まって未来に向かって生者が手を取り合って歩んでいく絵で終わる。言葉のないページに思いを感じる。
母を亡くした少年。いろんな疑問が湧きあがる。悲しみのゴリラと対話する。
死者と生者。死者はたぶんここにいる。ずっといっしょにいる。それが分かったとき悲しみが癒える。ゴリラが答える。ゴリラの回答は的確だ。
一人の時間は誰にだって大事。
命あるものは必ず死ぬ。愛するものをおいて行くのは悲しいけれど。
最期のページは生きているものが手を取り合って生きていく環境の中に立っている。いろいろと答えてくれたゴリラは去っていく。対話を通して生きている者がきちんと生きていくことを歩み始めたように見える。そして、もうゴリラがいなくても自分たちで道を歩いていけそう。
悲しみのゴリラのような存在は自分の中にいる。その存在との対話がうまくいくと次のステップに進める。そんな存在との対話を意識して持ちたい。