中村文則 『教団X』
又吉先生とオードリー若林さんが絶賛していたので興味を持ちました。分厚さと1800円という価格にビビりなかなか手が出せませんでしたが、誕生日に夫に買ってもらいました。
なんとなく見てみたAmazonのレビュー。★1つが1番多かったことに恐れおののき、レビューでもたくさん書かれていた「純文学」という言葉に怯え、果たして私に読める内容なのかしら…?とおそるおそるページを捲りました。普段、特に意識はしてないものの、所謂エンタメ小説と言われるジャンルを主に読んでいるので…。
結論から言いますと、バカな私でも、全く苦痛無く読めました。一気読み出来る感じでは無かったので、毎日少しずつ読みました。
私が、面白いというか興味深いなと思ったのは『教祖の奇妙な話』というシリーズで、確かに、素粒子だとか量子だとか難しそうなことがたくさん書いてあるのですが、神観と言えば良いのかなんと言えば良いのか。「神とは何ぞや」という考え方が自分のそれと非常に似ていたので、その考えがベースにあるから、教祖の話全体がすんなり入って来たのかな?と思います。『教祖の奇妙な話』は、本筋とは関係ないから飛ばして読んでオッケー!みたいな意見もありましたが、いやいやいや、これがメインでストーリーはオマケなんじゃないのけ?というのが私の感想です。
ストーリー自体は、特に斬新なものはないので、著者の思想?を語る上での道具なのかなあという感じです。(もしかして、それを「純文学」というのかな…?)
酷評されていた性的描写ですが、これは確かに、この表現の必要あるのかな?とは思います。官能的というのとも違うし、なんだろう、童貞中2男子が書いた妄想小説ぽい(笑)編集担当が男性だったんでしょうかね。きっと何かしら意図があるんだと思いますが、凡人にはよく分からず。
ちょいと話が逸れますが。
例えばですが、この性描写がリアルなものだったと仮定します。ただ、私を含め殆どの人は、新興宗教にハマッて洗脳されトランス状態でセックスをしたという経験は無いかと思いますので、何がリアルなのかわからない。この描写には、非常にリアリティがないように思います。もしかしたら、極限状態になるとこういうふうになるのかもしれませんし、他人のセックスがどうなのかなんてわからないんで、そもそも、何が普通かなんてわからないんで、つまりは何が言いたいかというと、リアルとリアリティは別物であり、時としてフィクションのほうがリアリティがある場合もあるんだろなと思ったよ~という話です。この本の描写のことに関してではなく、いろんなこと全てに共通して。読みながら、そんな事を考えました。
あとは、まあちょいと、いやかなり、政治的思想というんでしょうか。それが濃いですね。あたいには難しいことはよくわかりませんが(°_°)
生死、輪廻転生、魂、神、運命…等々を、科学的視点から見ている人、見たい人には面白いと思えるんじゃないでしょうか。