ミネラルウォーターが売れている。いや、売れすぎているというべきか。店頭ではペットボトルの水が品薄になり、宅配サービスのホームページにはアクセスが集中するなど、人々が飲料水を求めて奔走している。
3月11日に発生した東日本大震災。激しい揺れとその後の大津波の影響で、東京電力福島第一原子力発電所が甚大な被害を受け、放射性物質の漏えいが起きるなど切迫した事態が現在も続いている。3月23日には東京都の金町浄水場で厚生労働省が定める乳児の摂取基準を超える放射性物質を検出するなどの事態が発生し、首都圏でも飲料水への危機感が一気に高まった。そして、瞬く間にミネラルウォーターが店頭から姿を消したのだ。
水道水の放射性物質はすぐに数値が下がり、事態は沈静化した。しかし、原発の危機的状況は依然として続いており、飲料水に対する消費者の意識は高い。ミネラルウォーターの需要は急激に高まっているのが現状だ。天然水宅配の「Frecious(フレシャス)」を運営するファインスプリングス株式会社の青木康時代表に、震災前の状況を含めた最近の飲料水事情について伺った。
● ウォーターサーバー方式が果たす二つの役割
今回の震災にかかわらず、自宅や会社にウォーターサーバーを置き、日常的にミネラルウォーターを飲む習慣が浸透しはじめていたという。おいしい水、健康的な水を求める多くの人が、宅配の飲料水を愛用しているのだ。
そして、震災で人々はウォーターサーバーのもうひとつの役割を知ることとなった。それは飲料水における危機管理という側面だ。容器に詰められた水は安全が確認された水だということ。これが自宅や会社に常備されることで当面の水不足や不測の事態にも対処することができるのだ。また、水の注文も定期配送やスポット配送が利用できる※ので心強い。
※対応は業者によって異なる。
これまで水の宅配で不便だったのは、「ガロンボトル」と呼ばれる配送時の容器のやりとりだと青木氏は話す。ウォーターサーバーでは、容器を業者で回収?交換するツーウェイ方式が主流だ。何時に来るか分からない業者からの配送を待っていないといけなかったのだ。しかし、「フレシャス」を含む最近の水宅配サービスは宅配業者を利用したワンウェイ方式と呼ばれるスタイルが登場し、日時指定配達が可能となったことで飛躍的に利便性が高まっているそうだ。
日常生活で安全で健康的な水が提供され、かつ万が一の災害や水不足の備えにもなるのであれば、普段からウォーターサーバーを置いて水の宅配を利用するというスタイルも今後普及する可能性は高いと言えよう。
● 知っておくべきミネラルウォーターの基礎知識
青木氏によると、ひとくちに"ミネラルウォーター"といっても正確には4種類に分類されるという。天然水と呼べる『ナチュラルミネラルウォーター』と『ナチュラルウォーター』は特定水源から採取されるもの。そしてミネラル入り地下水である『ミネラルウォーター』、水道水や RO 水など人工的につくられる『ボトルドウォーター』だ。おいしくて健康的な水を求める場合は、この4分類のそれぞれの違いを理解しておくと良いと同氏は話す。なお、「フレシャス」のウェブサイトではこの違いを紹介するコンテンツを公開しているという。宅配水に対する放射能の影響に関しても、天然水、RO 水の業者ともに独自の調査報告を発表しているので、各社のホームページなどで確認して頂きたい。
ミネラルウォーターの「4つの分類」
また、ミネラルウォーターは妊婦や乳児に与えないほうがよいと言われるが、このときの水はミネラルを豊富に含んだ「硬水」のことを指す。ミネラルウォーターの中でも富士山の天然水(超軟水)を扱う「フレシャス」のように「軟水」であれば乳児のミルクに使っても問題ないそうだ。
青木氏によると「フレシャス」の水は富士山の標高1,000メートルにある開発限界区域で、地下273メートルから採取した地下水を、ろ過と非加熱処理だけで加熱処理をせずにパック詰めしているという。富士山の地下水は何層もある玄武岩層によって数十年も数百年も磨ぎ澄まされてきた水で、健康によいとされるバナジウムも含まれているそうだ。
● 新規申し込みの急増に「Frecious」はどう対応しているか
現在、飲料水の宅配業界は殺到する問い合わせや新規契約に追われている。想定外の契約数増加で、水はともかく、ウォーターサーバーの生産が追いつかない状況なのだそうだ。比較的順調に生産対応をしている「フレシャス」でも、配送までの期間に通常より1週間~10日ほど余分に時間がかかっているという。
そのため、「フレシャス」では新規契約者にウォーターサーバーの設置に先だって天然水をプレゼント(4月15日まで/先着1000名限定)することで急な水需要に対応している。「安全な水を必要としているお客様に、少しでも早く水をお届けしたい」と青木氏。生活に欠かせない飲料水を供給する現場は、消費者のニーズに応じようと必死で対応しているのだ。