ある日モルヒネを1日3回与えるように指示が出た。それから6日目の私の出勤日、かなり幻聴と幻覚が出ていた。
顔も今まで見たことのないような、恐ろしい表情を見せるようにもなっていた。
彼女が何かしたんだわ(他のケアギバー)
私に何か飲ませたのよ(いつもの薬)
だから自分は苦しいんだ的な事を言ったり…
口喧嘩してる声が聞こえるとか…
何度も言うけど、お家に家族は同居してない。
部屋にセキュリティのRINGカメラがあるから、家族がいつでも見られる状態ではある。
みんな(息子達4人)最低でも一週間に1回は顔を出していたけど、どこまで理解していたのかは分からない。
その日のシフトが終わって家に帰り、旦那に話して辞める決意を固めた。
もちろん一番怖かったのは、目の前で亡くなられる事だけど、モルヒネの影響で幻聴/幻覚が始まって、たとえカメラで見られるとしても、他人の私がやってもないことや/言ってもいないことを、本人の妄想でアレコレ言われるのも怖かった。
家族でもない資格もない私達が、医療行為に当たる薬を扱うこと。
実際私が辞めたあと、ケアギバーの派遣会社から来た人は、医療行為をさせられた(指示された)と言ってすぐ辞めたそうだ。
カリフォルニアでは私達がやっている(お世話)が、違法医療行為に当たる可能性があった。
でも私は家族と個人契約していて、その家族の指示…その辺の細かい法律の部分も曖昧で、誰かに揚げ足を取られないかの不安もあった。
薬の事で分からない事、本人の症状/状態で分からない事があっても、病院に電話してアドバイスを聞くように言ってくる全部丸投げの家族。
◎家族みんなそれぞれに生活があり、出来る範囲でしか面倒見られないこと
◎病院で管に繋がれるのではなくて、子供達を育てた自分の家で/自分のベッドで、最後まで過ごしたい本人の気持ち
◎一緒の時間を過ごし面倒を見ても、所詮他人のケアギバー
私が辞めたちょうど3ヶ月後、お婆さんは旅立った。
最後眠るようになくなったのか?苦しかったのか?どういう状況だったのかは分からない。
でももうあのお家に行っても、お婆さんは居ないんだなと思うと、胸がキュッと苦しくなる。
私をとても気に入ってくれていた。
でも最後まで面倒を見てあげれなかったこと。
他人でコレだから、身内ならきっともっとツライんだろうなと、正解のない介護のあり方/難しさを痛感した。
そして他人を世話する大変さも学んだ。
いつか来る親の介護(義理親含めて)、遠く離れた海外生活。
他人でありながら、家族/介護という輪に入れてもらい、たくさんの事を学ばせてもらった。
ありがとうお婆さん、また会う日まで。