古くて新しいと言いますか・・・
世代が変わるたびに
何度も繰り返されるテーマがあります。
薄口醤油と濃い口醤油の塩分濃度も
その内の一つではないでしょうか?
1.事実
薄口醤油の方が濃い口醤油より塩分濃度が高い
2.誤解
薄口醤油の方が塩分が薄いと誤解した人が・・・
3.失敗
薄口醤油を使い過ぎて失敗
てな事が、恐らく毎年繰り返されています。
でも、料理関係者の人は別にして
「ヘー、そうなんだ」で終わっている人も
結構多いような気がします。
でも、僕は「ヘー、そうなんだ」って思えないんですよ。
だって、薄口の方が塩分が高いって
やっぱりおかしいですもん。
色が薄いことを表現するなら
「薄口」って言わないでしょう?
そんな訳で、薄口醤油の謎を国語辞典から
探ってみようと思います。
■薄口、濃い口は色の濃淡を意味しているのか?
まずは、薄口、濃い口と言う
言葉の意味を調べましょう。
使う辞典は「大辞林」です。
【薄口】
1.うすくち醤油のこと。
2.煮物などの味つけが薄いこと。
3.陶器などで、薄手に作られたもの。
う~ん、やっぱり薄口って
味が薄いことを意味するように思えます。
【濃い口】
醤油などの味や色が濃いこと。
また、そのもの。
やっぱり濃い口は味も濃いんですね。
特筆すべきは、薄口には色々と意味があるのに、
濃い口と言う言葉は濃い口醤油に関する意味が
中心になっていることです。
説明もやや投げやりな感じがします。
ここから、薄口と言う言葉がまずあり、
それと対比するための言葉として濃い口と言う
言葉が出来たと推測することが出来ますね。
■そもそも、薄口醤油とはなんだろう?
では、次に薄口醤油、濃い口醤油
そのものについて調べてみましょう。
【薄口醤油】
料理素材の味や色を生かすために、
色が薄くなるような製法で作られた醤油。
濃い口醤油より塩分濃度、糖分ともやや高い。
【濃い口醤油】
醤油のこと。薄口醤油に対応しての名称。
濃い口醤油の説明には薄口醤油と
対比するための言葉っていう雰囲気が
あからさまに出ていますね。
と言うことは、もっとも注意深く読み込むべきなのは
薄口醤油の定義なわけです。
では、この定義を分析しましょう。
A)料理素材の味や色を生かすために、
B)色が薄くなるような製法で作られた醤油。
C)濃い口醤油より塩分濃度、糖分ともやや高い。
それぞれの行頭に記号を付けました。
まず、「C」行については単純な事実。
そして、それは既に分かっています。
なので、分析対象から除外。
次に、「B」行の色が薄くなるってのも
既に分かっている事実です。
BとCを合わせて
「色が薄くて、塩分などが高い」のは
既に分かっています。
分からないのはその理由。
つまり、それが「A」行に示されている
可能性がある訳なのです。
A)料理素材の「味」や「色」を生かすために、
料理素材の「色」を生かすために、
薄口醤油は色が薄くなっています。
では、料理素材の「味」を生かすために
薄口醤油をどう使うのでしょうか?
素材の味を生かすには、
相対的に薄口醤油の量を減らせば良い。
そうすれば、色はさらに薄くなるし一石二鳥。
要は、ドバドバ使うためのものではないということ。
醤油の味が薄口なのではなく、
上品な料理に使うために薄口に使うための
醤油だから、薄口醤油と呼ぶわけです。
国語辞典を調べるだけで、
日本の文化を垣間見ることも
時には出来ちゃいます。
学びの冒険者 原口直敏