日曜午前10時。陽気な気候のなか、爽やかな風を感じながら、人々が散歩やウォーキングを楽しんでいる池周りの散歩道。
軽くジョギングを20分おこない、いつもの直線にむかうとN君がいた。現役で100m走をやっている高校二年生だ。三国ヶ丘高校に通っていて、志望校は京大の農学部だと言う。
脚が速いだけでなく、脳ミソまでエリートクラス。近畿大学で何も考えずに油絵を描いていた私とは比べものにならない。

昨日あれほど走ったのに、筋肉痛も、なんともないらしい。
「あれぐらいは…普通です…」
……。
私のハムストリングスと腹筋は、ホラー映画を観た女子のように悲鳴をあげていた。

軽く、アップをおこない、まずは前菜の100m流し。
「ハァっ、ハァ、ハゥアッ」
流しとは名ばかりで、私はほぼMaxで走っていた。

「大丈夫ですか?…」
彼は、心配そうに聞いてくる。
…いや、大丈夫じゃない。
「な、なんとか、…頑張るよ」

こんなはずじゃなかった。
29歳をさかいに、身体に異変が起き始め、ギックリ腰に、度重なる肉離れと、肉体は確実に衰えを見せていく。
しかし、そのたびになんとかテリーマンのような不屈の精神で立ち上がってきた。

流しを2本、片足ホッピング3本、最後は100mのビルドアップ(徐々に速度を上げていく)3本でフィニッシュ。
あとは、補強で65段の階段ダッシュ2本。

脚が痛すぎる。
次は、来週の土曜日。
ん〜、あかん。やっぱ向いてない、短距離。