2022年から始まった円安によって、外国人ばかりか、日本の若者まで、日本で働くことに価値を見出せなくなっている今日この頃。

 

年収300万円じゃ働けない 円安ニッポン、見放す外国人

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA026GL0S4A500C2000000/

 

 日本は一体どこに向かって行くのか、心配でなりません。

 

  円安の急激な進行は、国内外の金利差の拡大と貿易赤字の増加が主な要因でした。しかし、最近では金利差の拡大が一時的に収まり、貿易赤字も縮小傾向にあります。

 それにも関わらず、円安基調が続いている要因の1つに、新NISAを通じた個人による海外投資の影響が挙げられます。

 

 財務省によると、投資信託を通じた個人の対外証券投資は、今年の1月から4月に、4兆円を超えました。これは2005年以降で最大の投資額であり、既に23年通年の投資額を上回っています。主力は、外国株式を含む投資信託です。

 

 円安加速によって輸入物価が上昇し、普段の生活でも円安を実感することが増えてきました。

 確かに、個人が海外投資を通じて、成長している国や企業に関わることは、生活を守る意味でも重要な要素です。個人による海外投資の活動が、今後ますます増えることが予想され、さらに円への売り圧力となるでしょう。

 

 国が、公的年金や社会保障だけでは、もはや国民の老後を支えきれないことを見越して、非課税制度まで設けて促進を図る新NISA制度。

 これが、円安進行の新たな伏兵として無視できない存在になることは、政府関係者も予想できたはずですが、それでも消去法で進めざるを得なかった、彼らの苦悩すら感じます。

 

 私は、これまで書籍やメルマガなどを通じて、「円安対策は必須」と言い続けて来ました。今、懸念していた未来が現実のものになってきたように感じます。

 私自身も、しっかり対策をとってきたものの、「もっとできたこともあったのではないか」という反省も残ります。

 どの角度から俯瞰しても、これから円高になる要素がなかなか見当たらない中で、今後、更に資産防衛のアクションを講じることが必要かもしれません。

 

 6月14日には、日銀の金融政策決定会合が行われ、今後は国債買い入れの規模を徐々に減らしていくことが明らかとなりました。

 国債の買い入れ額を減らすと、その間にも国債の償還が進んでいくことから、結果的に日銀の保有残高が減っていくことになります。現在、日銀の国債保有率は国債発行残高の5割超と膨大ですが、何はともあれ金融正常化の第一歩を踏み出したということでしょう。

 

 いずれにせよ、年初の株高と新NISAの開始につられて投資を始めた初心者にとっては、その後の株価の調整局面や、日銀の政策変更などで、早くも投資の洗礼を受けることとなりました。

 株価のアップダウンに耐え切れず、早々に損切りをする人が続出したことから、損切り民なる言葉もニュースで飛び交いました。しかし円安対策として、また老後資金を作る方法としても、資産運用が必須のスキルであるのは間違いありません。

 

 これにめげずに、この機にぜひ、金融リテラシーの獲得に労力を割かれることをお勧めいたします。

 

俣野成敏


 

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《参考文献》

日経新聞Web版:2024年6月14日、6月15日、他