盛衰の激しい金融業界で、常にトップ圏内を走り続けてきたウォーレン・バフェット氏。世の中の人は、そんなバフェット氏を「投資の神様」「オマハの賢人」などと呼んでいます。

 

 誰もが、バフェット氏が行っている投資法を知りたがりますが、もしかすると、下記のバフェット氏の発言の中に、そのヒントが隠れているかもしれません。

 

「もしあなたが投資先の将来的な値動きに集中しているのだとすれば、それは予測をしているにすぎません。不適切だとは言いませんが、私も価格の予想をうまくできません。(株価などの)予想が的中してきたという人も信用できません。直近で資産価格が上がっているというのは、今買うことのいかなる理由にもなりません」

(『カリスマ投資家の教え』川上穣著、2017年、日経BP社)

 

 では、バフェット氏は一体、何を予想しているのかというと、おそらく価格の振れ幅、つまりリスクを予測しているのだと思います。

 株主への手紙の中で、バフェット氏はリスクについてこのように述べています。

 

「私たちが考える投資家が見積もるべきリスクというのは、投資によって得られる税引き後の合計受取額(売却時に受け取る金額も含めて)によって、保有期間終了後に最低でも今まで以上の購買力が得られ、かつ当初の投資金額に対する相応の利息を得られるかどうか、ということです」(『バフェットからの手紙 第4版』ローレンス・A・カニンガム著、2016年、パンローリング株式会社)

 

 要約すると、「予測される値下がり分を考慮しても、最低限、投資をするに値するだけの利益を確保できるかどうか?」という意味になるでしょう。

 当然ながら、投資には値下がりリスクもありますから、最悪の場合も想定しつつ、それでも投資をする価値があるものにお金を投じる必要がある、ということです。

 

 バフェット氏によると、リスクを算出するための要素とは、たとえば次のようなもののことを言います。

 

《リスクを算出するための要素》

 

1、企業の長期的経済的特性を評価できるという確信

2、企業の持つ潜在力を生かしきる能力やキャッシュフローをうまく利用する能力の両面で、経営者を評価できるという確信

3、事業で得た利益を自分たちより優先して株主に還元するという点で信頼が置ける経営者であるという確信

(『バフェットからの手紙 第4版』より)

 

 ご覧の通り、予測よりも「大事なのは確信だ」と言っています。

 だったら、どうすればその確信が得られるのでしょうか。バフェット氏は、「企業の事業内容をより一層理解するために役立つすべての情報を集めること」だと述べています。

 

 今回の話を応用する際、まずは自分の中で「この会社であれば、価格はここからここまでの間に収まるはずだ」と振れ幅を持つことを意識されてみてはいかがでしょうか。ポイントは、“下限を持つ”ことです。

 大事なのは、大きな利益を狙うことではなく、むしろ「下落局面でも最低限の利回りを確保できるか?」という視点のほうなのです。

 

俣野成敏


 

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