不動産は、資産価値が高く、容易には値崩れしにくいことから、どの時代においても、有用な資産形成手段として選ばれてきました。

 

 通常、物件の売り手は少しでも高く物件を売りたいと考えていますし、買い手側も、少しでも安く物件を購入したいと思っているものです。

 従って、売り手と買い手の間には、利益相反の関係が成り立っています。

 

 当然、それぞれに付く不動産業者は、付いたほうの利益のために動きますが、実は日本では、この売り手と買い手の仲介を1社が行ってもいい、ということになっています(代理をするのは、日本でも違法)。

 

 売り手か買い手のどちらか片方に付き、仲介することを“片手商売”、両方の仲介をして、それぞれから手数料をもらうことを、俗に“両手商売”と言います。

 

 もともと不動産の仲介手数料は、法律で「売買代金の3%+6万円+消費税」と決まっています。片手商売であれば、これ以上もらうことはできませんが、両手商売の場合は、両方から手数料をもらえるので、売り上げが倍になります。

 ですから、両手商売を狙ってくる業者は非常に多いのが実情です。

 

不動産仲介会社の不動産売買「両手比率」試算表(2022年版)

https://www.dropbox.com/s/so7gr56un1bckob/

 

※ダイヤモンド不動産研究所:2023年6月26日より一部抜粋

 

 このように、一流企業の多くが、非常に高い割合で両手商売を行っています。

 

 利益相反関係にある売り手と買い手の仲介を1社が引き受けるということは、「果たして業者はどちらの味方なのか?」という疑念が湧いてきます。

 

 両手商売を狙っている業者は、他社から問い合わせが入っても、「今、そちらの物件には内覧の申し込みが入っていまして」などと、あたかも先約が入っているかのように装います。

 ところが、顧客からの問い合わせが入ると、態度が豹変。「ぜひ、1度お越しください」というように、全く違った対応を取ります。

 両手商売のことを、別名“囲い込み商法”と言いますが、まさしく「売り手も、買い手も、1社が囲い込んで利益を総取り」しようというわけです。

 

 時々、自宅のポストに「こういう物件を探しています」といったチラシが入っていることがあるかと思いますが、これなども囲い込み商法の典型です。

 業者がポスティングをする理由は、買い手を募集する情報サイトはあっても、売り手はどこにいるか分からないからです。だから、買い手がすぐに付きそうなマンションにポスティングを繰り返すことで、売り手候補に網を張ろうという意図があります。

 

 もともと仲介には、大きく分けて一般媒介と専任媒介の2つがあります。専任媒介というのは、1社とのみ契約する方法ですが、これでは業者間の競争原理が働かず、適当に対応される可能性があります。

 不動産仲介は、信頼できる業者がいる場合には専任媒介を、そうでない場合には一般媒介を、というのが目安です。以上、ご参考まで。

 

俣野成敏


 

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