以前からお伝えしているように、私がお勧めする副業は、個人事業主の一択です。副業の効果を最大限に活かすためには、開業届を提出して、税務署から副業を事業と認めてもらい、事業所得にて確定申告を行うことがポイントになります。

 

 事業所得を申告する際には、青色申告と白色申告の2種類があります。現在、白色申告のメリットはほとんどないため、青色申告がお勧めです。

 そのためには、事前に青色申告承認申請を出す必要があります。申請書は、青色申告書をしようとする年の3月15日までに提出してください。

 

所得税の青色申告承認申請手続き

https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/shinkoku/annai/09.htm

 

 青色申告最大のメリットは65万円の青色申告特別控除ですが、他にもいろいろな特典があります。

 

1、赤字を3年間繰り越すことが可能

 たとえば、1年目の課税所得がマイナス200万円だったとして、2年目の課税所得がプラス100万円になった場合、前年のマイナスと相殺して、課税所得をゼロ円にすることができます。3年目の課税所得がプラス300万円だった場合、残っていた1年目のマイナス100万円と相殺することで、20万円ほどの納税額を10万円程度にすることができます。

 

2、貸倒引当金を計上できる

 年末に残っている売掛金や貸付金などの債権に対して、一定額を貸倒引当金として経費計上することができ、その分、課税対象額を少なくすることができます。

 

3、取得価額30万円未満の減価償却資産を損金に算入できる

 通常、備品や建物などに使った経費は10万円以上になると一括計上できませんが、主に中小企業を対象に、青色申告の複式簿記で申請した人に関しては、30万円未満のものを一括計上でき、1年間で合計300万円まで計上が可能です。(中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例:2024年3月末までの間に取得して事業の用に供した場合)

 

 他にも、家族を従業員にしている場合は、その給与を課税対象額から差し引くことができたり、自宅をオフィスにしている場合は、家賃や光熱費等を経費として計上したりすることなどができます。

 

 当然ながら、青色申告はメリットだけではなく、デメリットもあります。たとえば青色申告は、もともと白色申告よりも手続きが煩雑です。それ以外にも、

 

1、失業保険がもらえない可能性がある

 失業保険とは、もともと次の仕事を見つけるまでの保障として加入しています。失業保険は、再就職を斡旋するための制度であり、就職活動をする必要のない人には、基本的に支給されません。

 

2、家族の扶養に入っている人は、扶養から外れる可能性がある。

 現在、家族の健康保険に加入している人が、事業を興すことによって、扶養から外れるかどうかは、加入している健康保険組合の規定に準ずることになります。

 

…などが考えられます。

 

 個人事業主になるからには、これらのデメリットを補って余りあるほどのメリットを享受するためにも、ぜひ事業に邁進していただきたいと思います。

 

俣野成敏

 

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