副業を含めた全ての事業者にとって重要なイベント=確定申告の季節が近づいてきました。

 

 もし、すでに副業を始めているのに、まだ開業届や青色申告承認申請を出していない人がいるのであれば、たとえ今からでも申請をすべきです。

 残念ながら、今からだと青色申告は、令和6年からの適用になります。それでも、令和5年分を雑所得で申請するよりは、たとえ白色申告になっても事業所得で申請したほうがいいでしょう。

 副業による事業所得が税務署に認められた暁には、損益通算への道が開かれることになるからです。

 

 損益通算とは、事業で発生した損失を、給与所得を含めた総所得金額から控除すること。これが可能になるには、副業収入を事業所得と認定されることと、確定申告を行うことが絶対条件になります。

 

 副業を事業所得として認めてもらえる一番のポイントとは、“帳簿の保存”です。日々の取引をきちんと記帳し、エビデンス(領収書)とともに保管しておくこと。記録を残すことが、事業そのものだと言っても過言ではありません。

 

 これは、知り合いの税理士から聞いた話ですが、その税理士の顧客の中に、副業で1000万円ほどの売り上げを上げていた人がいたそうです。ところが、その人は申告のためのエビデンスを一切準備していなかったために、初年度は本業(サラリーマン)よりも税金を支払う羽目になったのだとか。

 

「副業は事業所得なのか?雑所得なのか?」という問題については、2022年に一応の決着を見ています。現状、副業が事業所得として認められるためのポイントは、以下の3つです。

 

・帳簿(複式簿記)の記帳・保存

・副業収入が300万円以下で、かつ本業収入の10%未満の場合は雑所得

・3年間赤字が続き、かつ改善に対する努力が見られない場合は雑所得

 

 国税が、これだけ明確に事業所得の要件を提示している以上、従来のように「とりあえず事業所得として申請し、損益通算を行う」といった荒技は通用しなくなるでしょう。

 なにぶん確定申告の申請数が多いので、税務署もひとまず申告書を受け取りはするでしょうが、その後、上記のポイントに照らして、基準に合わない申請書をピックアップし、状況次第で税務調査が入るという流れになるかもしれません。

 

 副業事業者にお勧めなのが、会計業務をプロに任せることです。事業主にとって、何よりも大事なのは事業を遂行することですから、帳簿の作成をプロに任せ、その分、自分は事業で成果を出すことこそが、最も重要なことだと考えます。

 

 いずれにせよ、副業を始めることで、サラリーマンの時には持てなかった“経費概念”を手にすることができます。要は、「お金を稼ぐだけが、副業のメリットではない」ということです。

 経費や、その他諸々の節税テクニック等、詳しくは下記の書籍をぜひご一読いただければと思います。

 

俣野成敏


 

『知らないと損をする税金の話~副業のプロと税理士がタッグで教えるプロフェッショナルサラリーマンの節税スキル~』(clover出版)

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