投資でいうレバレッジとは、少ない元手を証拠金(担保)として預ける代わりに、運営会社から借金をして取引をすることです。レバレッジを使って投資(というより投機に近い)をすると、少額で大きな取引が可能となりますが、読みが外れれば借金を負う可能性もあります。

 

 著名な投資家であるウォーレン・バフェット氏も、かつてこう述べています。

 

「借りたお金(レバレッジ)を元手に投資して、かなり裕福になる人はいます。しかし、そうしたやり方は一方でとても貧しくなる道でもあるのです」

(『カリスマ投資家の教え』川上穣著 日経ビジネス人文庫)

 

 現在、世界3大投資家と呼ばれているバフェット氏、ジョージ・ソロス氏、ジム・ロジャーズ氏の3人の中で、レバレッジを使わずにお金持ちになったのは、実はバフェット氏だけだということをご存じでしょうか。

 

 かつて、ソロス氏とロジャーズ氏の2人は、コンビを組んでヘッジファンド会社を運営していた仲でした。彼らは、10年間に4000%を超えるリターンを叩き出して有名になりましたが、その後、2人は袂を分かっています。

 ロジャーズ氏は、ソロス氏とコンビを解消した後、37歳という若さで1度引退していますが、一説によると、レバレッジによる心的負担があまりにも大きかったからだとも言われています。

 

 現在は、株取引やFX(外国為替証拠金取引)などで、一般投資家も気軽にレバレッジを使った取引ができる時代です。

 特にFXでは、日本の運営会社の場合で最大25倍のレバレッジがかけられるため、これまでも「投資に失敗して多額の借金を抱え込んでしまう人がいる」と度々、問題になってきました。

 

 バフェット氏が、レバレッジの恐ろしさについて語った言葉を引用してみましょう。

 

「レバレッジがうまくいくときは、利益が大きくなります。あなたの妻はあなたを賢いと思い、隣人は羨望のまなざしを向けるでしょう。しかし、レバレッジは癖になるのです。この驚くべき手法でひとたび利益を上げた経験を持つと、ほとんどの人は保守的なやり方に戻れません」(『カリスマ投資家の教え』川上穣著日経ビジネス人文庫)

 

 怖いのは、レバレッジで借金を背負うことではなく、むしろ味を占めてしまうことだというのです。

 

 現在、バフェット氏の代名詞と言えば「長期投資」です。銘柄を長期保有することで、市場で起きているボラティリティ(価格変動)も許容することができます。

 一方、レバレッジを利用すると、余裕がなくなります。レバレッジには、返済期限があるからです。

 バフェット氏のもっとも得意とする「待つ」戦略が使えないレバレッジは、もともと氏の投資スタイルとは相容れないわけです。

 

 確かに、不動産投資などのように、レバレッジ前提で考えるべき投資もあるとはいえ、とりわけ初心者にとって「レバレッジは諸刃の剣である」ということを、くれぐれも忘れないようにしていただきたいと思います。

 

俣野成敏


 

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