以前からお伝えしているように、私がお勧めしている副業は、個人事業主の一択です。
損益通算、という言葉をご存じでしょうか。
損益通算とは簡単にいうと、事業で発生した損失を、給与所得を含めた総所得金額から控除することです。これが可能になるには、副業収入を事業所得と認定されることが必要です。
2022年、国税庁が「副業収入300万円以下は雑所得」との見解を示したところ、猛烈な反発を受け、やむなく国税も「帳簿を保存し、副業収入が本業の10%を超えたら、基本は事業所得」と妥協せざるを得ませんでした。
これが副業300万円問題の経緯ですが、そもそも、国税が副業を雑所得で括ろうとしたのも、損益通算を阻止するためだったと言われています。
実は、損益通算には「国による事業のスタートアップ支援」という意味合いがあります。
事業を立ち上げたばかりの頃は、事業者も不慣れな上に、初期コストなどもかかります。生まれたばかりの事業の芽を摘んでしまわないよう、用意されているのが税金の一時的な軽減措置なのです。
通常、事業を立ち上げて軌道に乗ってくれば、売り上げも上がってきます。赤字を黒字で相殺するのが損益通算ですから、黒字と黒字では、どうやっても税金を減らすことはできません。
この段階に至って独立・法人化を検討する、というのが王道です。
なぜ、損益通算の限界点に達した時点で法人化を検討するのかというと、売り上げが多くなってきた際、経費コントロールを行うことで、個人事業主よりも法人のほうが税率を有利にできる余地があるからです。
もちろん、法人化するデメリットも存在します。たとえば税務処理や銀行取引など、世の中に用意されているサービスの多くが、個人よりも法人の費用のほうが高く設定されています。他に毎年決算をしなければいけないなど、法人ならではのルールもあります。
個人のままでいるにせよ、法人化するにせよ、どちらにもメリット・デメリットの両方があります。中には、個人事業主のままでいることのほうが、都合がいい人もいるでしょう。
副業を志す人は、「個人か法人か?」だけに限らず、何かを選択する際に「どちらを選択することが、より自分の目的にかなうのか?」という尺度を持つようにしてください。
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すでに、国が副業容認に舵を切ってから久しくなります。以後、ますます税金が重くなっていくことが予想される中で、税金対策をすることは、自己防衛のための必須のスキルとなるのは間違いありません。
節税にご興味のある方は、ぜひご参加いただければと思います。
俣野成敏
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