今は、ビジネスモデルも販売されている時代です。

 もし、あなたがマネジメント経験などをお持ちなのであれば、副業でFCオーナーを始めるというのも、選択肢の1つになるでしょう。そのような方に、ぜひ知っておいていただきたい事例がこちらです。

 

高級食パン「乃が美」本部とFCの泥沼内紛劇

https://bunshun.jp/articles/-/61612

 

 高級食パンブームの火付け役として知られる、食パン専門店の乃が美。乃が美は2013年の創業後、瞬く間に店舗を広げ、わずか5年後の2018年には全都道府県への出店を果たしています。

 売り上げも100億円を突破するなど、破竹の勢いに見えましたが、今にして思えば、その頃がブームのピークでした。

 

 実は、ある数字に着目することで、FC店が後々、困難に陥る未来を予想することは可能でした。

 その数字とは、本部が運営する直営店とFC店の出店比率です。

 

 現在、約200店舗ある乃が美のうち、直営店はわずか14店舗のみであり、残りは全てFC店です。この比率は、かなり偏っています。

 

 そもそもFC(フランチャイズ)制度とは、加盟店がロイヤリティ(対価)を支払う代わりに、本部からビジネスモデルやブランド、看板などを使う権利を貸与してもらえる、というものです。

 

 本部が、市場で自社のブランドを構築し、確固たる地位を築くためには知名度がなければならず、そのためにも多くの店舗を必要とします。しかし出店には多額の費用が必要な上に、市場を占拠するにはスピードも重要です。

 もし、自分たちの資金やパワーが不足していると考えられる場合は、FC加盟店を募り、他社の資金力をも使って、一気に市場を取りに行く必要があります。

 これが、本部がFC店を募集する本来の目的なのです。

 

 本部は、他社に出店してもらう代わりに、自分たちのノウハウと利益を渡さなければならないわけですから、元来、FC店はなるべく少ないほうがいいはずです。

 ところが乃が美の場合は、直営店が極端に少ない。これは、本部が店舗を増やす理由が「市場を取るため」ではなかった可能性があります。

 

 最初から、それを狙っていたのかどうかは定かではありませんが、本部にとってはFCの権利を売ること自体がビジネスになっていた可能性があります。

 市場で高級食パンブームが起きた結果、FC希望者が殺到して、いつの間にか本業の食品物販よりも、権利商売のほうへと経営がシフトしてしまったのかもしれません。

 

 個人的には、直営店とFC店の比率は、50:50に近いことが理想ではないかと考えています。

 FC比率が50%あれば、本部もFC店の意向を無視することはできません。これだけの数があれば、FCオーナーが泣き寝入りせざるを得ない事態を、ある程度は防ぐことができるのではないかと思います。

 

 顧客にしてみれば、手を伸ばせば届くところに高級なものがあっては、特別感がなくなるのもやむを得ません。

 高級品は普段、なかなか手が届かないからこそ高級感を感じるのであって、もともと多店舗展開とは相容れないものであるということを、商売人を目指す者は知っておくべきでしょう。

 

俣野成敏


 

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