投資の神様と呼ばれるウォーレン・バフェット氏は、投資をする際にどのような観点から銘柄選定をしているのか、誰もが気になるところでしょう。

 

 以下は、バフェット氏が初来日した際の会見でのコメントの一部です。来日の主な目的は、バークシャーの孫会社に当たるタンガロイ(福島県いわき市)の新工場完成式に出席するためでした。

 

バフェット氏初来日

https://www.nikkei.com/article/DGXNASGD21058_R21C11A1NN8000/

 

【バフェット氏の名言】

 

「30年後、50年後も成長を続ける企業を探している」

 

 この名言は、バフェット氏が投資を行う上でもっとも難しい「どの企業の株を買うべきか?」に対する考え方を語ったものです。何気ない一言ですが、この中に、氏が投資家として成功してきた要因が隠されていると思います。

 

 バフェット氏はどちらかというと、先進的な産業を敬遠しがちであり、「理解できない事業に投資をするな」と述べています。かつて、氏の慎重な姿勢が裏目に出て、ITの分野で遅れをとり、マスコミから叩かれたこともありました。

 そんなバフェット氏も、今ではアップルなどのIT企業に投資を行っています。もちろん、アップルの将来性に賭けたからでもあるでしょうが、世界有数の大企業であるバークシャーの資金を入れられるほど大きな会社は、アップル含めた少数に限られるのが実情です。

 

 ご存じの通り、アップルの現在の躍進のもとになったのが、2007年に発表したiPhoneです。

 当時、スマートフォンの登場は世界に衝撃を与えましたが、「本当にこの変化を予測できた人はいなかったのか?」というと、当然いたはずです。

 

 実のところ、世の中が気づいていなかっただけで、当時の携帯市場では、すでにスマホ化の流れが起きていました。iPhone発売の10年以上も前から、IBM社がタッチパネルを搭載した端末を発売しており、日本でも2005年にSHARPがMicrosoftのモバイルWindowsを搭載したPHSモデルを発表していました。

 

 素人にとっては、あたかも凄い技術が突然、降って湧いたかのように感じられたとしても、同じ業界で開発・競争をしている人にとっては、実はそれが“既定路線”なのは、よくあることです。

 

 ここから言えるのは、「自分がよく知らない分野で他人と競争をしたところで、その分野を本業にしている人には敵わない」ということです。

 その技術が本当に将来、モノになりそうなのか?ということや、その技術をどの企業が実現できるのか?ということを、部外者が予測するのは困難です。

 これが、バフェット氏が「理解できるものにしか投資をしない」理由だと言えるでしょう。

 

 名言にあるような、「30年、50年先」というと、人は革新的な未来を想像するかもしれません。しかし、そのような中にあっても、今の自分の生活と変わらないこともたくさんあるはずです。

 バフェット氏は、「今ある中から30年、50年後も続いているものを想像している」と言っているのであって、すごい未来を予想しているとは言っていないのです。

 

 実際、投資は自分のわかる範囲内で予測をすれば十分だということを、バフェット氏の投資が証明していると言えるのではないでしょうか。

 

俣野成敏

 

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《参考文献》

EE Times JAPAN:2022年9月16日、@DIME:2019年10月27日、他