会社で部下を持っている人の多くは、「どう部下を動かしたらうまくいくのだろう?」というのが悩みのタネになっているでしょう。
本屋に行くと、コミュニケーションに関する本が山のように積まれています。「この一言で部下をやる気にさせる」「会話が弾む方法」「褒め方」「叱り方」「気の使い方」等々。
あなたも、こういった本を読んで、「よし!」と思ってやってみたのに、なぜか上手くいかずに玉砕してしまった経験がないでしょうか。
個人的には、上司と部下がコミュニケーションを取る意味とは、基本的に2つだけだと考えています。それが以下の2つです。
1、問題解決→部下が抱えている悩みなどに対し、上司から示唆を与える
2、課題創出→部下がより成長するための課題づくり
世間でよくある勘違いとは、上司が「部下に慕われよう」「好かれよう」とすることです。もちろん、嫌われるよりは好かれたほうがいいには違いありませんが、上司が部下に好かれたい本当の理由は、おそらく「部下が自分を慕ってくれれば、言うことを聞いてくれるのではないか」という期待があるからです。
でも、それは単なる思い込みにすぎません。実際は、たとえ好かれていなくても、部下を動かすことは十分可能です。
“2:6:2の法則”というのをご存じでしょうか。またの名を「働きアリの法則」とも言います。「組織内において、上から2割の人が全体の売り上げの大部分を担っており、6割は普通、下の2割はそこそこ」という経験則を述べたものです。私のマネジメント経験から言うと、同法則の数値はおおむね正しいと思います。
そもそも、デキる部下にこちらから指示出しをする必要などありません。上位2割の人には、余計な指示を出すよりも、なるべく阻害要因を排除し、自由にやらせるのがコツです。
中位6割は一番数が多く、組織の中核を担う層ですから、ここを教育すれば、組織力の底上げを図ることができます。
下位2割の人たちは、自分で動くことができず、指示出しが必要です。とはいえ、手をかけることで、将来的には中位、上位へと上がる可能性もあり、最も伸び代が多い層だと言えるでしょう。
マネジメントでよくある失敗パターンとは、ミスが多い(下位の)人たちを「手がかかるから」と面倒臭がって放置してしまい、逆にデキる人たちに干渉しようとすることです。
デキる人たちは、たとえつまずいても、自分で立ち上がることができます。一方、ミスが多い人たちをそのままにしておいては、いつまでもミスが続くことになります。
上司は自分の中にフレームを持ち、部下の能力を見極めた上で、それぞれに相応しい対応をしなくてはなりません。そのためのフレームの1つが2:6:2の法則なわけです。
上司の仕事で最も大事なことは、フレームを念頭におきながらも、常に部下を見ていることです。たとえ向こうから好かれていなかったとしても、部下に大事なことが伝わっていて、成長してくれているのであれば、それでいいのではないでしょうか。
俣野成敏
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