「いつまでも、若く健康でありたい」と望む人がいる以上、その需要に応えようとするサービスが次々に表れてくるのも当然でしょう。とはいえ、これまでにはなかった新しい治療法にはリスクがつきものですから、利用にあたっては十分な注意が必要です。

 

 たとえば最近、巷で血液クレンジングという治療法が流行っています。血液クレンジングとは、採取した血液に医療用オゾンを投与してから、体内に戻すという治療法です。

 これにより血液が活性化するとのことで、海外では保険適応しているところもあるようですが、未知の部分が多いのも事実です。オゾンには強い酸化力もあるため、何らかのリスクにさらされる可能性はあります。

 

 もし、体内を活性化させたいのであれば、水素点滴などのように、還元力を高める治療のほうが向いているかもしれません。

 その水素に関しても、数年前にブームになったことがありました。

 

 水素が、医療で注目されるようになったきっかけは、2007年に日本の研究者によって「水素は細胞内で抗酸化作用を発揮し、細胞を守る機能がある」と発表されてからのことです。

 この論文以降、世界中で水素を医学研究に活用する動きが活発化しました。この動きを見た美容業界などでも、水素を謳った健康商品が一気に氾濫したのです。

 

 もともと水素は非常に軽く、分子も小さいため、ペットボトルなどに留めておくことができません。気体である水素は、栓をしていても、時間が経つと抜けてしまいます。

 高額な機械でないと水素を発生させることができず、トラブルも相次いだことから、ブームは一時、下火になりました。

 

 沈静化したかに見えた水素が今、再び脚光を浴びているのはなぜでしょうか。

 実は、水素は体内にも微量に存在しています。よって副作用もほとんどない上、比較的安価に利用できるというメリットがあります。水素は脳血液関門も通ることが可能だと言われ、血管治療などにも効果が期待できるとされています。

 それだけではありません。

 

 私たちは普段、呼吸によって取り込んだ酸素を、エネルギー生成時に利用しています。しかし、酸素は私たちの身体を酸化させる物質でもあります。呼吸で取り入れた酸素のうち、2%から3%ほどが体内で活性酸素に変わるとされています。

 最近の研究によると、動脈硬化やアレルギー、がんや糖尿病など、現代人を苦しめている様々な病気と、この活性酸素が関係しているのではないかと考えられるようになってきました。

 水素は、この活性酸素を無毒化する作用を持っているのです。

 

 最後に、保険対象外である美容・健康商品のどれが本物なのかを見分ける方法についてですが、正直なところ、難しいのが実情です。たとえば水素商品であれば、「どのようにして水素を発生させているのか?」といったことが明記されているような商品であれば、ある程度は信用が置けるかもしれません。

 

 まずは、パンフレットをよく読んだり、販売会社のHPを見たりして、最低限、信頼できる会社なのかどうかを確認すべきでしょう。できればクリニック併設など、実体があるところのほうがいいのではないでしょうか。

 

俣野成敏

 

SIRTUIN CLINIC

https://www.sirtuin-clinic.com/


 

《参考文献》

『なぜ水素で細胞から若返るのか 抗酸化作用とアンチエイジング』(辻直樹著、2016年、PHP研究所)、厚生労働省:e-ヘルスネット、他


 

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