正直なところ、ほとんど節税を封じられているのがサラリーマンです。
かつてのサラリーマンは、副業を禁止されていたため、給与所得以外の所得を得ようと思ったら、不動産オーナーや投資などを行うしかありませんでした。
そのサラリーマンに、節税できる可能性を示唆したのが、副業の解禁でした。
日本では、副業だろうと、本業だろうと、収入に応じて税率を計算する累進課税方式が採用されています。もし、副業を行うために経費計上し、それが認められれば、それだけ収入を低く抑えられ、結果的に税金も少なくすることができる、という理屈です。
どのような仕事を始めるにしろ、副業を活用した節税のポイントとなるのは、「税法上、副業で得た収入が何所得に当たるのか?」という点です。
所得税法上、所得は全部で10種類に分けられます。いくつか見てみましょう。
副業としてアルバイトを始めた場合、給与所得に該当しますので、サラリーマン所得と合算され、所得が増える以外に特に大きなメリットはないでしょう。
副業として投資を行う場合、それによって得た収益は、何に投資しているのかによって、利子所得、配当所得、不動産所得、譲渡所得、雑所得などに分類されます。これらの所得でも、経費として認められる支出はあるものの、事業所得ほど多くはありません。
一方、フードデリバリーなどの配達員は、個人事業主として認められる可能性が高いとされています。もし、報酬が事業所得として認められれば、経費計上できる可能性が高いでしょう。
ところが、実際に配達員をしている人たちの多くは、個人事業主としてのメリットに目を向けるのではなく、従業員として依頼主に保証を求めているのが実情です。
他に、突発的に得た所得や、他の所得区分のどれにも当てはまらない所得は、雑所得とみなされます。雑所得とみなされたら、ほぼ節税メリットを受けられなくなるとお考えください。
ここまでの話を聞いて、「副業で節税するのは難しい」と感じた方もいるでしょう。確かに簡単ではありませんが、仮に副業が事業として認められれば、サラリーマンでは叶わなかった多くの特典が享受できるようになります。
何と言っても、サラリーマンが副業で個人事業主を始める1番のメリットは、損益通算ができることです。損益通算とは、給与所得者が事業を行なって損失が出た際に、給与所得などから損失を差し引くことができるという制度です。
世間には、この節税を活用しようと、わざわざ経費を付けるために無駄遣いをする人がいますが、それでは本末転倒です。あくまでも、赤字は自分の事業を育てるための先行投資であるとお考えください。
もっと詳しい節税方法をお知りになりたい方は、ぜひ下記の書籍を手に取ってみていただければと思います。
『知らないと損をする税金の話~副業のプロと税理士がタッグで教えるプロフェッショナルサラリーマンの節税スキル~』(クローバー出版)
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俣野成敏