通常、人は他人がやっても問題なければ、自分も大丈夫だと思うものです。しかし、そのような行動に警鐘を鳴らしたのが、著名な投資家のウォーレン・バフェット氏でした。

 

【バフェット氏の名言】

 

「ビジネスの世界で最も危険な言葉は、5つの単語で表現できます。『ほかの誰もがやっている』(Everybody else is doing it )です」

 

(『ウォーレン・バフェット 華麗なる流儀』ジャネット・タバコリ著、牧野洋訳 東洋経済新報社)

 

 本来、「学ぶ」の語源が「真似ぶ」からきているように、他人の真似をすること自体は悪いことではありません。名言の中で、バフェット氏が危険だと述べているのは、「行動するか否かの判断自体をも他人に求めてしまうこと」です。

 事例を見てみましょう。

 

 2017年から2018年の年初に発生した、仮想通貨バブルを覚えておられる方も多いでしょう(当時はまだ、暗号資産という言葉はありませんでした)。それまで、ジリジリと値を上げていたビットコインの価格が、この時急上昇し、1ビットコインが200万円を突破しました。

 

 あまりの熱狂ぶりに、投資を知らない一般人までもが、我先にと高値のビットコインに飛びつきました。多くの人が、クレジットカード枠の利用や借金をしてまで、一斉にコイン購入に走ったのです。

 ところが、2018年1月に起きたコインチェックの仮想通貨流出事件などを境に、価格相場は下落。クレカなどで仮想通貨を購入していた人は、多額の借金を抱える事態となりました。

 

 本来、投資とは「安く買って高く売る」のが基本です。

 ということは、人々が殺到しているような時点で、すでに買い時ではなく売り時だと判断しなくてはなりません。けれど、大半の人は逆の行動に走りがちです。

 

 ビジネスでは「トレンド(流行)を読む」というのが、事業の将来を予測する上で、大事なポイントの1つになってきます。しかし、それは決して今、みんなが何に飛びついているかが重要、という意味ではありません。

 むしろ注目すべきなのは、「これから何が流行るのか?」のほうです。

 

 多くの人が、多勢になびいてしまう理由は、もともと人は他人を真似しながら成長する生き物だからです。特に学生の時は、みんなと同じ行動をすることを求められ、成功モデル(先生)も明確でした。

 しかし、一度社会へ出たら、今度は自らの中に指針をつくっていかなければなりません。ある意味、学校と実社会は真逆だとも言えるわけです。

 

 人は、刷り込まれた行動に、なかなか気づくことができません。もし、思い当たる節がある人は、以後、意識していただけたらと思います。

 

 その後、しばらく低迷期が続いたビットコインですが、コロナ禍の2021年には最高値の約776万円を付け、現在は500万円台を推移しています。

 念のために、短期的な相場変動や過渡期に起こる業界の諸問題は、暗号資産が持つ未来の可能性とは切り離して見ていくべきことを、ここでは付け加えておきたいと思います。


 

俣野成敏


 

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