私がセミナーなどをしていると、時々「その情報はどこで得たのですか?」「どうしたら、良い情報を得られるでしょうか?」といった質問を受けます。今の世は、情報で溢れていますから、どれが本物なのか、かえって見抜くのが難しい時代なのだと思います。

 1つ、事例をお話ししましょう。

 

 世界3大投資家の1人であるウォーレン・バフェット氏は、“オマハの賢人”とも呼ばれています。オマハとは、アメリカ中西部ネブラスカ州にある小都市・オマハのこと。

 バフェット氏のオマハ愛は有名で、今は世界有数の大企業となった氏の会社、バークシャー・ハサウェイの本社も同地にあります。毎年、行われる株主総会には、世界中からオマハに投資家が集まるビッグイベントとなっています。

 

 そんなバフェット氏も、かつてコロンビア大学大学院に進学するために、一時期ニューヨークに住んでいたことがあります。

 証券取引所やウォール街などがあるニューヨークは、人も情報も集まる場所です。普通に考えれば、投資を本業とする人にとっては、ニューヨークのような大都会にいたほうが、何かと都合がよさそうにも思えます。

 

 バフェット氏が同大学院に進学したのは、そこで証券分析の講座を教えていたベンジャミン・グレアム氏に師事するためでした。

 卒業後、氏は一度、オマハに戻って父親の経営する証券会社で働きます。その後、念願叶ってニューヨークのグレアム氏の会社で働くという、幸せな2年間を過ごしました。

 しかし師匠の引退を機に、故郷に帰って自分の事業を始める決意を固めるバフェット氏。敬愛する師から「後継者に」と望まれながら、それを断って帰還したのでした。

 

 現在のバフェット氏の成功を見れば、「自分が情報の入ってくるところにいるのか、もしくは情報の入りにくいところにいるのかは、大きな問題ではない」、ということがわかります。

 自分が欲しい情報とは、どのみち自分で探して、真偽を確かめ、選別し、精査した上で、最終的に自分が判断を下すという作業を経なければなりません。

 どこにいようと、必要な情報とは結局、自分で見つけるしかないのです。

 

 バフェット氏が、本拠をオマハに構えたことによる最大のメリットとは、「余計な雑念が入らない」ことでした。

 確かに、ニューヨークには、時代の最先端を行くパワフルさや刺激があるでしょう。とはいえ、そうした喧騒に巻き込まれてしまえば自分を見失い、刹那的な行動に出てしまうかもしれません。

 

 人間とは、良くも悪くも環境から大きな影響を受けています。常に欲望を刺激されるような場所にいながら、それを抑制できるほど、人間は強くありません。

 バフェット氏のような賢人でさえ、雑念に左右されない環境を徹底してつくっているという事実に、私たちはもっと目を向けるべきではないでしょうか。

 

 いずれにせよ、情報に踊らされない工夫をすることで、あなたがどこにいようと、そこが“あなたにとっての成功の地・オマハになる”可能性はある、ということなのです。

 

俣野成敏


 

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