こんにちは。俣野成敏(またのなるとし)です。

 

 投資は自己責任であるがゆえに、資金を動かす際は緊張感を伴います。特にウォーレン・バフェット氏のように、他人から預かった大きな資金を運用している人は、尚更でしょう。

 

 バフェット氏は、どうやって重要な決定を下しているのでしょうか。氏は、かつてこのように述べています。

 

「人がどうふるまうかを大きく左右するのは、内なるスコアカードがあるか、それとも外のスコアカードがあるかということなんだ」

 

(『スノーボール(改訂新版)〔上〕──ウォーレン・バフェット伝』アリス・シュローダー著、伏見威蕃訳 日経ビジネス人文庫)

 

 スコアカードとは、自分の目標に到達できるように考えられた裁定基準、といった感じの意味になります。簡単にいうと、マイルールです。

 

 1990年代、株式市場ではテクノロジーや通信株など、ITブームによってハイテク株が空前の活況を呈していました。しかし、バフェット氏はそれらに対して一切、手を出そうとはしませんでした。

 これを見たマスコミは、一斉にバフェット氏を「過去の人」扱いにします。

 ところが、2000年代に入ったところでITバブルが崩壊。一転して氏の目利き力の高さが証明されることとなったのです。

 

 実際は、ITバブル期に高値掴みをしてしまった人であっても、そのまま持ち続けていれば、当時の最高値をゆうに超えていた可能性があります。現在、株価がITバブル期の3倍近くになっていることは、ご存じの通りです。

 

 しかも、バフェット氏自身がその後、IT株の購入を始めています。それは氏の会社、バークシャー・ハサウェイが世界トップクラスの大企業になったことと関係があります。

 

 バークシャー・ハサウェイの手元資金は、2023年6月末時点で1473億ドル(約21兆円余り)に上っています。ちなみに、中欧オーストリアの2023年の国家予算が約16兆3000億円だと言いますから、それよりも大きいことになります。

 もちろん、バフェット氏がIT企業への投資を始めたのは、IT業界が一時的なブームを経て、世の中のインフラになったこととも無縁ではないでしょう。しかし、バークシャーの保有株式の半分近くをAppleが占めているのは、決して偶然ではないのです。

 

 ここから、私たちが学べることとは何でしょうか。1つには、「自らのマイルールを持つべきこと」。もう1つは、「マイルールも状況に応じて改定していくべきこと」。この2つが挙げられます。

 

 そもそもマイルールとは、自らの過去の経験などから導き出した行動規範のことを言います。バフェット氏も、多くのマイルールを持っていることで有名です。

 

 マイルール自体は、おそらく誰でも無意識のうちにつくっていると思います。ただし、それを定期的にアップデートするためには、失敗から学ぶ必要があります。

 世の中は常に変化していますから、当然、それに合わせてマイルールも改定していくことが、成功への近道だと言えるのです。
 

 ありがとうございました。

 

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《参考文献》

東京新聞TOKYO Web:2023年1月27日、楽天証券:2023年8月10日、他