こんにちは。俣野成敏(またのなるとし)です。

 

 人は、誰しも「いつまでも元気で健康でいたい」と思うもの。しかし、年を重ねるごとに身体が衰えてくるのは、如何ともし難いものがあります。

 現在、増え続けているがんも、老化が原因なのでしょうか?

 

 最近の研究によると、若く健康な身体の人であっても、がん細胞が1日5000個から1万個くらい出来ることがわかっています。そのため、私たちの身体には、がん細胞を排除するための仕組みが備わっています。

 

《がん細胞を排除する身体の仕組み》

1.ダメージを受けた細胞を修復する

2.修復できない細胞が自ら自殺する(アポトーシス)

3.自殺しない細胞を、増殖させないように機能を停止させる(細胞老化)

4.出来てしまったがん細胞を免疫細胞が排除する

 

 大まかにいうと、このようなセキュリティシステムが、私たちの身体には備わっています。これだけの仕組みを潜り抜けて生き残ったがん細胞が、長い年月をかけて増殖し、病気としてのがんを発症するのです。

 

 がん細胞も、老化細胞も、いわば身体にとっては不要な老廃物ですから、通常は免疫細胞が排除してくれます。しかし、年齢とともに排除し切れなくなり、体内に蓄積されていくことで、病気としてのがんを発症したり、身体全体の機能が低下したりして、個体として老化していくのです。

 

 最近、抗がん剤の一種であるオプジーボをマウスに投与すると、体内の老化細胞が減り、身体機能が改善したという研究成果を、東京大学と金沢大学の研究チームが発表しました。

 

オプジーボの投与で老化細胞が減少、身体機能が改善

https://www.yomiuri.co.jp/science/20221102-OYT1T50184/

 

 オプジーボとは、免疫チェックポイント阻害剤という薬で、がんによって抑制されていた免疫細胞を活性化し、改めてがんを攻撃できるようにさせる効果があります。

 通常、がん細胞ができると、免疫細胞の一種であるT細胞ががん細胞を攻撃します。するとがん細胞は、PD-L1という物質を出し、それがT細胞表面にあるPD-1と結合し、免疫細胞の活動を抑制します。

 

 今回の東大等チームが発見したのは、老化細胞もがん細胞と同様に免疫細胞の活動を抑制させて排除から逃れていた、ということです。

 要は、老化細胞もがん細胞と全く同じことをしていたわけです。老化細胞は、細胞のがん化を防ぐ反面、免疫細胞の働きを阻害して生き残るという二面性を持っているのです。

 

 忘れてはいけないのは、老化細胞にしろ、がん細胞にしろ、元は私たち自身の細胞だったという点です。それを作り出しているのは他ならぬ自分の環境・行動であったりするわけです。

 

 いずれにせよ、細胞が老化し、それが体内に蓄積された結果、病気を引き起こすわけですから、そうなる前に、その大元である細胞のコンディションを良くする方向に働きかけよう、というのがアンチエイジング治療の考え方です。

 

 病気になる前に対応していくことで、病気になりにくい身体を作ること。そうした予防医学こそ、アンチエイジング治療が効果を発揮する分野なのです。


 

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 ありがとうございました。


 

《参考文献》

京都大学大学院生命科学研究科HP、国立研究開発法人日本医療研究開発機構:2020年10月7日、小野薬品工業株式会社オプジーボ作用機序、他