こんんちは。俣野成敏(またのなるとし)です。

 

 コロナ禍では大打撃を受けた航空業界ですが、コロナ規制が撤廃されたことで、訪日客は増加傾向にあります。その一方で、日本からの旅行や出張は依然、回復半ばにあります。

 

 コロナの流行は、ビジネス環境をも一変させました。今ではANA(全日空)のような国を代表する企業でさえも、安穏とはしていられない世の中です。

 

ANA Pocket

https://anapocket.page.link/NP2LetjFtJsWqhMc8

 

 ANA Pocketは、ANAホールディングスの子会社であるANA X株式会社が提供しているアプリです。携帯にダウンロードして常時起動させることで、航空移動だけでなく、徒歩・電車・自転車・自動車全ての行動履歴に対してポイントを付与する仕組みになっています。

 ANA Pocketの基本プランは無料で、マイレージ会員でなくても利用が可能です。移動する度に勝手にポイントが貯まり、加入サービスに応じて1000ポイントから1回ガチャに参加でき、デジタルギフト券や抽選商品、マイルなどが当たります。

 

 このANAガチャをやると、ANAが発行するマイルやコインが貯まりますから、自然に「ANAを利用しようか」という心理になるでしょう。このようにANA Pocketは、顧客のほうからどんどん自分たちに近づいてくるような仕組みになっているのです。

 

 ところで本来、航空事業を柱としているANAにとって、ユーザーが歩いたり車に乗ったりしただけでは1円にもなりません。それなのに、ANAがポイント=お金を付与するのはなぜなのでしょうか。

 

 ANAがユーザーの移動にプレミアを付けている理由は、情報を集めるためです。ユーザーが日々、どこに行って何をしているのか?というデータが欲しいのです。

 顧客の行動がわかれば、自分たちの“経済圏”の中から、適切なものをオファーすることが可能になります。

 

 ANA Pocket上では、ポイントが貯めやすい「チャレンジ」が定期的に開催されるなど、多くのユーザーはアプリに常時接続しています。それだけアクセスを集めやすいことから、アプリ上でも広告業が成り立つのです。

 

 彼らが行っているのは、「ANAを中心に、顧客と企業の間をお金が循環する」という、いわば“関所ビジネス”なのです。

 

 もともと飛行機は、交通手段の中ではもっとも高くつく乗り物です。その飛行機に頻繁に乗る人は、総じて平均所得が高い優良顧客です。

 それに加えて、ANAには強力なブランドイメージがあります。しかしこれまでは、ANAの一番の財産である顧客名簿とブランド力を、ビジネスに反映し切れていませんでした。

 

 要は、アプリを通じて顧客を囲い込み、ユーザーがせっせと貯めたポイントをデジタル通貨やマイルに替えてもらい、自分たちの経済圏で買い物をしてもらうこと。これが、ANAが今、やろうとしていることなのです。

 

 ビジネスにおいて、これまでにない新たなサービスが生まれるのは、たいてい何かしらの危機がやってきた時です。私たち消費者としては、この機にますます良いサービスが登場することを期待したいところですね。


 

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https://www.mag2.com/m/0001673621


 

 ありがとうございました。