こんにちは。俣野成敏(またのなるとし)です。

 

 サラリーマンの方は、年1回の健康診断の受診が義務になっていますが、実際のところ、その効果はどれほどのものなのでしょうか。

 

 今や国民病とも言われるガンを例に挙げると、2020年にガン検診・健康診断などでガンが発見された人は、ガン患者のおよそ14%でした。

 残りの86%のうち、他の疾患による経過観察中に受けた検査で発見された人が30%強で、それ以外は自覚症状が出てから受診し、発見された人などでした(国立がん研究センターがん情報サービス「院内がん登録全国集計」より)。

 

 集団検診とは本来、個人の健康管理が目的ではなく、職場の労働環境に問題がないかどうかを把握するためのものです。これは、厚生労働省自身が述べていることです。

 職場内の環境改善のために求められたのが、大人数を一度にまとめて検査する集団検診でした。

 

 たとえば健康診断の定番である胸部X線検査や、バリウム検査(胃透視検査)などは、集団検診に適した検査法です。

 これらは、放射線技師でも検査が可能で、煩雑な前準備などもありません。短時間で多くの人を検査でき、医師の操作も必要ないことから、広く行われています。

 

 確かに、胸部X線検査も、バリウム検査も、ガンは発見できます。

 ただし、どちらの検査も被ばくをするという点と、特にバリウムは、検査でガンが発見された場合、胃カメラ(内視鏡)検査を受けるように指示されます。つまり、2度手間になるのです。

 

 バリウムもX線検査ですからモノクロで、カラーで見られる内視鏡の鮮明さには及びません。内視鏡に使われているカメラは解像度が非常に向上している上に、病変があれば、その場で切除することも可能です。

 現在は、厚生労働省の指針改定により、健康診断でバリウムか胃カメラかを選択できる機関も増えています。よかったら、調べてみていただければと思います。

 

 お伝えしたいのは、「健康診断で異常なしと出ているからといって、安心はできない」ということです。少なくとも、中年に達した段階で一度、人間ドックや精密検査を受けることを検討してみてはいかがでしょうか。

 特に、親族に脳動脈瘤やくも膜下出血など脳疾患を患った人がいたり、家族でガンになった人がいたりする方は要注意です。

 

 最近の研究によると、こうした病気は遺伝的要因よりも、生活習慣や食生活などの生活環境の要因が大きく関係していることが明らかになってきています。家族というのは、生活環境を色濃く共有していることが多いので、親族の中に罹患した人がいる方は、注意する必要があるでしょう。

 

 人間ドックで受けることができるCTやMRI、内視鏡検査などであれば、詳細な検査が可能で、ガンを見つける精度も非常に高くなっています。

 とはいえ、どんな検査にもメリット・デメリットの双方がありますから、どれを受けるのが自分にとって相応しいか、検討してから決めていただければと思います。


 

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 ありがとうございました。