こんにちは。俣野成敏(またのなるとし)です。

 

 多くの人は、学校を卒業した後、新卒として社会に出ていきます。つまり、スタートは皆、同じということです。

 それにも関わらず、5年、10年と年月が経ってみると、人によってキャリアに大きな違いが現れるのは、なぜでしょうか。

 

 世界的な経営学者のP・F・ドラッカー氏は、自著の中でこのように述べています。

 

「自らの成長につながる最も効果的な方法は、自らの予期せぬ成功を見つけ、その予期せぬ成功を追求することである。ところがほとんどの人が、問題にばかり気を取られ成功の証しを無視する」(『非営利組織の経営』P・F・ドラッカー著、2012年、ダイヤモンド社)

 

 もともと、仕事の多くはルーティン・ワークです。人は、ルーティン・ワークをしていると、慣れているがゆえに、無意識になりがちです。

 ドラッカー氏は、「その中のわずかな違いに目を向けない限り、成長や成功のキッカケを見逃してしまう」と述べているのです。

 

 だったら、「予期せぬ成功」というのは、どのようなものなのか、事例をお話ししましょう。

 

 総合スーパーのダイエーは、1980年に小売業界初の年商1兆円を達成するなど、かつて一世を風靡した企業でした。創業者・中内功氏(なかうちいさお、いさおの字は、たくみ偏に刀)のもとで、消費者側に立った価格破壊を行い、メーカーと徹底対決の姿勢を見せるなど、世間から拍手喝采を受けたものです。

 

 一見、小売で成功を収めたように見えたダイエーですが、実際は土地を取得することで資産価値を高め、それを原資に店舗を増やすという不動産ありきのビジネスモデルでした。

 その成功は、高度成長期に根差したものであったために、バブル経済が崩壊すると、瞬く間にダイエーの業績も悪化しました。

 ところが、中内氏はダイエーの存続に固執し、当時、優良子会社だったローソンやリクルート株などを売却することで生き残りを図りました。

 

 中内氏にとって、これら子会社の成功は、“予期せぬ成功”だったに違いありません。本来であれば、経営の厳しいダイエーを売って、将来性のあるローソンやリクルートを残す、という道もあったはずです。しかし、過去の成功に囚われてしまったがために、需要の変化に気づくことができなかったのです。

 結局、ダイエーは自力での再建を断念し、2004年に産業再生法を適用。2013年にイオンの傘下に入りました。

 

 それでは、私たちにとっての予期せぬ成功とは、どこにあるのでしょうか?

 1つ言えるのは、「人は誰しも、問題には目がいきやすいが、予期せぬ成功については、見ようとしない限り見えてはこない」ということです。

 

 チャンスの芽は、日常の中に潜んでいます。まずはそのことを念頭に、ご自身の日々の業務を見直すことから始めてみてはいかがでしょうか。


 

★日々の業務に、新しい視点を取り入れたい方はこちら↓

『プロフェッショナルサラリーマン:「リストラ予備軍」から「最年少役員」に這い上がった男の仕事術』

https://www.amazon.co.jp/dp/4094700064/winwinproject-22

 

 

 ありがとうございました。