こんにちは。俣野成敏(またのなるとし)です。

 

 サラリーマンの税務処理は通常、会社が代わりに行ってくれています。けれども、「副業で事業を立ち上げる」となると、基本は自分で納税まで行わなければなりません。

 

 自分の事業を持つ場合、それに基づいた手続きが必要になりますが、ここで多くの方が悩まれるのが「個人事業主として始めるか?」「法人を立ち上げて会社を興すべきか?」ということではないでしょうか。

 

 先に答えを述べますと、サラリーマンをやりながらであっても、基本はどちらもできます。もし、いまだに会社が副業を禁止しているような場合は、ご家族を代表にして法人を立てるという方法もあります。

 もともと株式投資を規制する会社は少ないので、個人事業で法人を始めたとしても、株主という存在が咎められる可能性は低いでしょう。

 

 とはいえ、ほとんどの人は個人事業主からスタートしたほうが、有利になるのではないかと思います。個人事業主から始めることをオススメする1番の理由は、サラリーマン所得との「損益通算」ができることです。

 

 副業で事業を持つと、給与所得以外に事業所得が発生することになります。つまり2種類の所得についての税金計算が必要です。

 その際、決められた項目に対して生じた損失を、一定の順序に従って各種所得金額から控除できるという制度が損益通算になります。

 

 “決められた項目”とは、「不動産所得」「事業所得」「山林所得」「譲渡所得」の4つ。これらで出た赤字は、他の所得との相殺が可能であり、その分だけ所得を減らすことができる、というわけです。

 しかし、損益通算を認められるためには、

 

1、副業を事業として認められること

2、個人事業主であること(法人でないこと)

 

…の2つの条件があります。

 

 法人を設立してしまえば、サラリーマン所得との通算はできなくなります。サラリーマンは雇われている立場ですが、法人を設立すれば、あなたがその法人の責任者になるのですから。

 

 実は私自身、最初に起業した時は、まだサラリーマンでした。しかし法人を興してしまったために、損益通算をし損ねてしまいました。サラリーマンの時から、すでに経営者として10年の経験があったために、「個人事業主からスタートする」という考え方がなかったのです。

 

 私の場合、兼業は1年もしませんでしたが、「最初の1年だけでも損益通算できたな」と思うと残念でなりません。

 これから副業を始める方には、私と同じ轍は踏んで欲しくないと考え、執筆したのが下記の本です。

 

『知らないと損をする税金の話~副業のプロと税理士がタッグで教えるプロフェッショナルサラリーマンの節税スキル~』(clover出版)

https://www.amazon.co.jp/dp/4867340804/winwinproject-22

 

 

 

 本書の執筆にあたっては、私と同じく元メーカー勤務のサラリーマンから税理士になったという異色の税理士・横田秀作さんとタッグを組みました。書籍では、サラリーマン経験者だからこそわかるさまざまな節税スキルを伝授しています。

 副業を使った節税にご興味のある方は、ぜひ1度お手に取っていただけますと幸いです。


 

 ありがとうございました。