こんにちは。俣野成敏(またのなるとし)です。

 

 最近になって、日本でもようやく一般化してきたジョブ型採用。

 ジョブ型採用とは、何かのスキルに特化した募集のことで、要はスペシャリスト採用のことを指します。

 

勤務地や職種 「ジョブ型」へ法改正検討

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA088O10Y2A700C2000000/

 

 かつての日本の会社では、スペシャリストよりはゼネラリストを育てる風潮がありました。経験と称して、あちこちの部署に異動させられたり、転勤や子会社に出向させたり、といったことも普通に行われてきました。

 社員にいろいろな職を転々とさせるのは、本人の適性を見るためだったり、派閥などをつくりにくくして組織の固定化を防いだり、といった意図もあったでしょう。

 

 以前の日本企業は“メンバーシップ型採用”が中心でした。

 終身雇用制の下で、社員は会社への忠誠を求められ、個性よりも団結や仲間との輪が尊ばれました。何かに突出するよりも、「広く浅く」が好まれたのも、そのせいだったのかもしれません。

 確かに、社内のことを深く知っていればこそ、マネジメントに昇格した際、ゼネラリストとしての経験が活かされる一面もあったとは思いますが。

 

 すでにアメリカなどの先進国では、ジョブ型採用が一般的になっています。

 

 ジョブ型採用のメリットとしては、能力に特化した募集を行うため、非常に効率の良い採用が可能になることです。

 一方、デメリットとしては、社員のジョブホッピングがしやすくなることが考えられます。あまり忠誠心が期待できないだけに、自社より少しでも条件の良い仕事を見つけたら、転職されてしまう可能性が常につきまとうでしょう。

 

 ただ、個人的には「日本企業がジョブ型採用に移行するのは、簡単なことではない」と考えています。

 理由の1つ目は、人事の評価制度や給与体系を、ジョブ型に変更するのは容易なことではないからです。中途半端に制度を変えるだけでは、社員も納得しないでしょう。

 

 理由の2つ目は、ますますマネジメント不足に陥ることです。

 ジョブ型採用が普及すれば、その分、ゼネラリストが減ることになります。人の上に立つには、他人の仕事の仕方や、他部署の都合なども、ある程度、理解していないと難しい面があるのは事実です。

「スペシャリストであるが故の“プロの目線”が期待できる代わりに、自分の専門分野以外の目利きができない」「社長すらジョブ型採用するしかなくなる」等のデメリットが、可能性として考えられるわけです。

 

 私の予想では、一時期、世間でジョブ型がもてはやされた末に、メンバーシップ型に回帰する流れが起きるのではないかと思います。

 その中でも、制度をジョブ型に切り替えられた数少ない企業では「社員」という概念がなくなり、代わりに業務委託などの個別契約になっていくでしょう。

 そういう企業は、やがてプロジェクトごとに契約する“プロジェクト型”に移行していくのではないでしょうか。


 

★ジョブ型人材として転職した後の働き方についてはこちら↓

『転職・再就職1年目の働き方』

 

 

 

 


 

 ありがとうございました。