こんにちは。俣野成敏(またのなるとし)です。

 

 一時期、富裕層の間でタワーマンション(タワマン)を活用した節税対策が流行ったことがありました。

 タワマンは、物件の立地や希少性、高層階のほうが高額であるなど、時価と固定資産評価額に差が生まれやすいという特徴があります。

 

 先日、このタワマン節税を用いた相続で、国を相手に争われていた“タワマン裁判”が決着しました。

 

 もし、相続財産に不動産が含まれる場合、不動産の価値がどれくらいなのかを評価する必要があります。通常、不動産の価格は年1回公表される路線価などをもとに算出されますが、「路線価と実勢価格が大きく乖離している場合は、例外規定が適用される場合がある」としています。

 タワマン裁判では、「この例外規定の適用が妥当かどうか?」が焦点となりました。

 

 話しは、2009年にさかのぼります。90代で不動産売買賃貸業を営んでいた被相続人(タワマン裁判の原告の父)は、事業を子供や孫に継承させたいと考え、ある信託銀行に相談しました。

 この被相続人は、信託銀行からの借り入れ(10億800万円)を原資に、賃貸マンション2棟を13億8700万円で購入。その後、被相続人は2012年に亡くなりました。

 

 相続人(タワマン裁判の原告)がこれらの評価を行なった結果、評価額は3億3370万6241円とされ、そこから借入金を差し引く(債務控除)と、課税対象額は基礎控除(非課税枠)以下となり、相続税をゼロと申告しました。

 

 これに対し、税務当局は「著しく不適当」として例外規定を適用。不動産鑑定士による鑑定の結果、12億7300万円と再評価され、過少申告加算税を含む3億3000万円を追徴課税。

 これを不服とした相続人によって、課税の取り消しを求める裁判が始まったのです。

 

 4月19日、最高裁判所は原告の要求を棄却し、税務当局が勝訴する形で決着しました。

 もともと原告は、通常の手法を用いて相続したマンションの評価をしていました。しかし今回、税務当局側の「節税目的が明確で、著しく不適切」とした主張が通ったことで、今後の節税対策にも少なからぬ影響を与えそうです。

 

 今回の判決では、「路線価と実際の不動産評価額の乖離があまりにも激しかったという点は、問題ではない」とされました。それよりも「税の公平性に抵触した」という点が、明暗を分けました。

 こうした節税方法は、多額の借り入れができて、初めて可能となります。所得の再分配を目指した相続税で、このような特権的な手法が許されるはずもありません。要は、やりすぎたわけです。

 

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 ありがとうございました。


 

《参考文献》

日経新聞Web版:2022年6月10日、6月12日、DIAMOND online:2020年12月26日、THE SANKEI NEWS:2022年4月19日、YAHOO!JAPANニュース:2022年5月7日、裁判所HP最高裁判所判例集:事件番号令和2(行ヒ)283、他