こんにちは。俣野成敏(またのなるとし)です。

 

 フードデリバリーといえば、現在、副業によるギグワーカーの受け皿として、急成長している業界です。

 株式会社ICT総研の調査によると、2018年に3631億円だったフードデリバリーの市場規模が、2020年には4960億円、2023年には6821億円に拡大すると予測されています(日経新聞Web版、2021年4月5日)。

 

 その一方で、こんなニュースが流れています。

 

料理宅配「フードパンダ」、日本でのサービス終了

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC1357V013012022000000/

 

 フードデリバリー大手でドイツ資本のフードパンダが、1月末で事業を終了。コロナでデリバリー業界が追い風を受けていた2020年9月に日本市場に参入してから、わずか1年半というスピード撤退でした。

 この5月には、さらにDiDi Foodや楽天ぐるなびなどが、撤退または事業の縮小を発表しています。

 

 まだまだ成長余地のあるフードデリバリー市場で、なぜ淘汰が始まっているのでしょうか。その理由は、主に2つあります。

 

 1つ目の理由は、「過当競争と市場の寡占化」です。フードデリバリー業界の場合、現在、日本では出前館とウーバーイーツが2強となっています。

 フードパンダも、かつては韓国系のFOODNEKOを吸収合併しています。FOODNEKOは、もともと韓国フードデリバリー業界大手が展開していたブランドですが、日本に上陸してわずか5ヶ月での統合となりました。

 

 淘汰が進む理由の2つ目は、配達員が不足していることです。実際は、これがもっとも直接的な理由でしょう。

 もともと「登録するだけで、働きたい時に働ける」自由さが、個人宅配という仕事の魅力の1つになっています。しかしその手軽さゆえに、業界内で安定的に人材を確保することが難しくなっているのです。

 

 ただでさえ、日本は少子高齢化やコロナ禍で人手不足に陥っています。それに加えて、配達員は少しでも良い条件を求めて、絶えず働き口をスイッチングしています。これが、人が安定しない要因です。

 宅配業界における深刻な人手不足の問題は、今後ますます大きくなっていくでしょう。

 

 ビジネスの世界では、チャンスのあるところに、人も企業も群がります。しかし「盛り上がるのが早いということは、衰退も早い」ということです。

 現在は、ビジネスの寿命がますます短くなってきています。その象徴とも言えるのが、フードパンダの撤退なのです。

 

 もともとフードデリバリーのビジネスモデルとは、“出前の外注化”です。コロナに対応するために急成長した市場であり、コロナ収束後も残るのが確実とはいえ、すでに参入が難しくなっています。

 

 人々が殺到しているビジネスほど、一見、羽振りが良さそうに見えるものです。けれど実際は、ライバルとの間でしのぎを削る壮絶な闘いが行われていることが少なくないのです。

 行楽地が賑わっている分には楽しいですが、こと仕事に関しては、それなりの勝算がない限り、人気の業界に分け入っても、火傷をするのがオチでしょう。


 

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https://www.mag2.com/m/0001673621


 

 ありがとうございました。