こんにちは。俣野成敏(またのなるとし)です。
現在、日本でも国を挙げて、キャッシュレス決済に移行しようとしていることは、ご存じの通りです。
給与デジタル払い2021年春解禁
https://www.nikkei.com/article/DGXZQODF266MB0W1A120C2000000/
給与のデジタル払いをキッカケに、日本でも、いよいよキャッシュレス決済の世の中がやってくるのでしょうか?
巷では、「給与のデジタル払いが、日本でどこまで浸透するのか?」と疑問視する声も聞かれます。日本のように、高度な現金決済システムが確立され、日常生活でほとんど不便を感じない環境下では、疑問に思う気持ちもわかります。
私の個人的な見解としては、「給与のデジタル払いが解禁されれば、日本も遠からず、キャッシュレス決済に移行するだろう」と見ています。
Pay Payや楽天 Payなどといった、スマホアプリ決済に移行するメリットとしては、以下の2つが考えられます。
1、便利であること
2、コストが安くなること
これはユーザーと、スマホアプリ決済を受け付けるお店・企業側の、両面から考える必要があります。
まず、ユーザーにとって、給料がそのままスマホアプリに入金されれば、便利になるのは間違いありません。いちいち銀行に並ぶ必要がなく、ATMを探してお金を引き出す手間も省けます。
コストに関しても、今後、銀行が通帳の有料化や口座維持手数料などを導入してくれば、キャッシュレス決済のほうが安くなる可能性があります。
お店・企業側にとっても、メリットがあります。
まずQRコード決済の場合、導入に当たって、専用の読み取り機などが不要のため、導入費用が非常に低いことが挙げられます。次に決済手数料も、クレジットカードなどに比べて、安く設定されています。
ご存じない人も多いでしょうが、実は企業は、従業員の給料を銀行口座に振り込む際、銀行から振込手数料を徴収されています。従業員の数が増えてくると、毎月、結構な額を請求されます。
以後、振り込みがデジタルになれば、極限まで手数料が安くなるでしょう。これは十分、企業にとっては移行するためのインセンティブになり得ます。
それから決済アプリ側についてですが、ユーザー数が増えてくると、実は意外な役得があります。
ユーザーが決済アプリにチャージしたお金は、アプリ内のウォレット(電子財布)にプールされます。これはJR東日本のSuicaや、JR西日本のICOCAと同じ状態です。
あなたも、SuicaやICOCAにチャージをする際は、たいてい少し多めにお金を入れておくと思います。それは、頻繁にチャージするのは手間がかかるからですよね?つまり、ユーザーのウォレットの中には、常にいくらか余裕資金が入っていることになります。
1人1人のプール金は大した額でなくても、これらのお金が同時に引き出されることは、普通はありません。よって、このお金は企業にとって、「無利子で資金調達をしているのと同じ」効果があります。
もちろん、お金を好き勝手に使うことはできませんが、これが潤沢なキャッシュフローの源泉となっていることに、変わりはありません。
今回の、給与のデジタル払い解禁は、銀行にとっては今まで独占してきた“給与の振込先”という特権を切り崩されることになります。
銀行の商売の柱である「預金」「決済」「融資」の入口が給与の振り込み口座である場合が多いため、本当に導入されれば、由々しき事態になるでしょう。
実際、強い反対に遭い、今回の解禁は延期になっています。
今後、給料が直接、スマホで受け取れるようになれば、若者や利便性に敏感な人を中心に、キャッシュレス決済が浸透していくでしょう。
移行に伴う一時的な混乱は避けられないにせよ、やがてそのパワーは侮り難いものになるのではないでしょうか。
ありがとうございました。
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