こんにちは。俣野成敏(またのなるとし)です。

 本日は、普段の仕事のヒントになるような話をしたいと思います。

 

 これまで小売業界をリードしてきたコンビニエンスストア業界が今、転機を迎えています。

 

 1974年にセブン-イレブンの1号店が東京の豊洲にオープンしてから、45年を迎えた2019年。コンビニの店舗数の統計を取り始めた2005年以降で、初めて店舗数が減少に転じました(時事ドットコム、2020年1月22日)。

 

 全国に5万店以上あり、「すでに飽和状態だ」といわれて久しいコンビニ。

 コンビニは今後、どこへ向かおうとしているのでしょうか?

 

 ご存じのように、日本で初めてコンビニを創業したのは、元セブン&アイ・ホールディングス会長兼CEOの鈴木敏文さんです。

 鈴木さんがイトーヨーカ堂の取締役時代に、アメリカ視察に出かけた時のこと。休憩のために偶然入った小さなお店が、アメリカのセブン-イレブンでした。

 

 日本では1960年代以降、総合スーパーの登場によって、商店街の個人商店が徐々に“駆逐”されていきました。当時、ヨーカ堂の取締役だった鈴木さんは、出店しようとする度に、地元の商店街からの強い反対に遭っていました。

 そのような時に、鈴木さんはアメリカのセブン-イレブンを見て、「これなら大型店と小型店が共存できる」と閃いたのだそうです(『わがセブン秘録』鈴木敏文他著、2016年、プレジデント社)。

 

 コンビニが成功した要因とは、「街の小さな個人店をフランチャイズ化することで、ブランディングした」ことにあります。個人商店が集まり、コンビニのブランドを掲げることで、認知度を高めました。

 本部側も、店舗数をバックに資金力を得た上に、数の力で交渉を有利に進められるようになりました。これによって、コンビニは高収益体制を実現したのです。

 

 しかし、このビジネスモデルが今、変化を迫られています。

 現在、起きている大きな流れは、「AIによる無人化」と「原点回帰」の2つです。

 

 Amazon GOに象徴される店舗の無人化は、すでに実験も始まっており、そう遠くない未来に実用化されます。その体制を一早くつくりあげるのが、コンビニ業界ではないでしょうか。

 

 コンビニで起きている、もう1つの流れが「原点回帰」です。つまり、人と人とが積極的に関わり合う“御用聞き営業”です。

 コンビニの基礎である個人商店は、もともとは“かかりつけドクター”的な存在です。今でも、パナソニックなどがショップ制度を維持しています。

 

 たとえば家電ショップを例に挙げると、電球1個から自宅にお伺いし、顧客に代わって付け替えます。顧客は自分で型番を調べる必要もなく、買い物不要で、取り替える手間もかかりません。

 でも、顧客も心理的に「電球だけじゃ悪いな。そういえば、そろそろテレビが買い替え時期だったな。何がオススメ?」となります。

 このような感じで、商売が成り立つのが御用聞き営業なのです。

 

 御用聞き営業の強みは、相手との信頼関係です。そこには、さまざまなビジネスチャンスが広がっています。

 

セブン-イレブン コンビニの外へ

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO67403560X11C20A2I00000

 

 上記の記事の中で、セブン-イレブンの店長が、トラックに商品を積んで過疎地や店舗のない地域を回る、という話が出ています。

 住民に“井戸端会議”の場所を提供して、「せっかくだから、買っていってくださいよ」といえる距離感が、御用聞き営業の強みです。

 実は、住民との何気ない会話の中にこそ商売のタネが潜んでいるのです。

 

 コンビニに限らず、今後のビジネスは、大きく「無人化」と「対人」の2局化していきます。その先端をいくのが、コンビニ業界ということです。

 本日のお話が、あなたの参考になれば幸いです。


 

 ありがとうございました。


 

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