こんにちは。俣野成敏(またのなるとし)です。
「どうせ同じ支払いをするなら、ついでにモノが残ったほうがいい」という考え方は、合理的なようでいて、そうでない場合も多々あります。その典型例がマイホームでしょう。
近年、晩婚化や国の低金利政策などによって、住宅ローンの完済年齢が上がっていることが、日本経済新聞社の調査で分かりました。なんと、2020年度のローン利用者の完済計画が平均73歳だったというのです。
住宅ローン 定年後にリスクを先送りした結果…
https://vdata.nikkei.com/newsgraphics/aging-society/housing-loan/
これは、借入れ時のスタート年齢が遅くなっていることや、借入れ年数の長期化、さらに借入れ金額が上昇していることなどが要因として考えられる、ということです。
「不相応に広い家を買ってしまった結果、子供が巣立った後も空き部屋の多いマイホームのローンを払い続け、年金生活後はアルバイトをしなければ生活できない」……これでは一体、何のためにマイホームを購入したのかわからないのではないでしょうか?
不動産会社にとっては、高い物件を売れば、それだけ多くの手数料収入を得ることができます。また銀行にとっても、住宅ローンは数少ない収益源の1つです。中には、ソニー銀行のように完済年齢の上限を85歳未満に引き上げたところもあります(日経新聞Web版、2020年10月5日)。
長期にわたるローンを組む場合は特に、将来のライフプランを見通した上で、ムリのない返済計画を立てたいところです。
だったら「やはり賃貸のほうがいいのか?」といえば、そうとも限りません。
少し比較をしてみましょう。
Aさんは26歳で実家を出て、29歳まで1人暮らしをした後、30歳で結婚し、子供も生まれたので1LDKに引っ越しました。
それから子供が2人になり、36歳から39歳まで2LDKに引っ越しました。子供が大きくなったタイミングで、40歳から60歳までは3LDKの賃貸住まいをしました。やがて子供たちも自立し、60歳から100歳までは、夫婦2人で再び1LDKの生活に戻りました。
場所は都心までの通勤圏内である埼玉県川口市を想定したところ、Aさんが生涯に賃貸に支払う金額は、約7760万円でした(引越し費用を除く)。
このAさんが、途中でマンションを購入した場合はどうでしょうか?
30歳から33歳までは1LDKの賃貸で暮らし、34歳の時に3500万円、築11年の中古マンションを購入しました。融資を受けて、管理費を払いながらローンを組みました。
やがてローンを完済し、88歳の時に住んでいたマンションの建て替え時期に合わせて、住んでいたマンションを引き払いました。88歳から100歳まで、夫婦2人で1LDKの賃貸に住んだ場合の合計支出は6143万7000円でした。
ここまで読んで、「なんだ。やっぱり持ち家のほうがお得じゃないか」と思われた方もいたかもしれません。
このシミュレーションのポイントは、中古物件を購入し、そこに自分の好みでリノベーションをかけたことです。こうすることで、購入費用をある程度、抑えることに成功したわけです。
実際、「賃貸がいいのか?持ち家がいいのか?」というのは、状況とご本人の考え方によっても違います。
たとえば賃貸にすれば、状況の変化にも柔軟に対応できますが、当然ながら物件は自分のモノにはならず、支払ったお金は返ってきません。
対する持ち家派は、自宅を購入することで、家は自分の資産と見なされ、社会的信用も増す分、ローンの返済義務を負うことになります。
つまり「どの状態が本人にとって望ましいのか?」は、人によって変わります。
同じものが2つとない不動産だからこそ、「信頼できる相談相手を持つこと」が、最高の自宅戦略であるのは間違いありません。
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ありがとうございました。