こんにちは。俣野成敏(またのなるとし)です。

 

 最近、本屋に行くと「質問に答えるだけで、あなたの才能がわかる!」的な本をよく目にします。確かに、「自分にはまだ人知れず眠っている能力がある」と思うことは、魅力的なことではあるでしょう。

 けれども、仮にそのような能力があったとして、今から他人との競争に勝てるくらいの能力に磨き上げるまで、一体何年かかるでしょうか?

 このように考えた場合、今から眠っている能力を開発するよりは、今すでにある程度、蓄積してきた能力を活かしたほうが、可能性としては高くなることがわかると思います。

 

 実のところ、才能とは他人のためにあるのであって、自分のためにあるのではないということをご存じでしょうか?

 たとえば、あるところに天性の美声を持っていて、歌がものすごく上手い人がいたとしましょう。けれども、どんなに歌が上手くても、他人がそれを認めてくれない限り、その能力を発揮する場がありません。

 才能は、他人のために発揮され、その力を認めてもらった時に、初めて才能と呼ぶことができます。才能とは、他人あってのものなのです。

 

 ですからどんなに考えても、自分で自分の才能がわからないのは、ある意味、当然です。他人の評価こそが、自分の才能を映し出す鏡だからです。

 

 こう言うと、中には「でも評価者が、その価値をわからない場合もあるのでは?」と思った人もいるかもしれません。

 もちろん上司も人間ですから、感情的になったり、勘違いをしたり、もしくは本当の価値を理解していない場合もあるでしょう。しかしそれは、私たちも完璧ではないのですから、お互い様です。

 ボーナス査定とか、会社が用意している評価制度に注目してみても、自分の才能を知る上では、あまり参考になりません。これらは、会社側の都合や他の社員との兼ね合いで決められている部分もあるからです。

 それよりも、もっと自分が実際にこなしている仕事1つ1つに対して、どのような評価を得ているのか?に注意を向けてみてください。コツとしては、自分の仕事を受け取った相手(たいていは上司)のリアクションを注意深く観察すること。すぐに見つからなくても、諦めないことです。

 

 仕事は基本的に「できて当たり前」の世界ですから、できているものには、何も言われないのが普通です。とはいえ、そうした中にあっても、たとえば

 

・同じ仕事を何度も依頼される

・他の仕事に比べて、相手の反応がいい

・ある分野に関して、他人から頼られる

 等の反応がある仕事に関しては、才能の萌芽がある可能性があります。

 

『100円のコーラを1000円で売る方法』などの著書のある永井孝尚氏は、日本IBMに入社後、長く製品開発に携わっていました。その永井氏がマーケティング職に異動したのは、36歳の時のこと。

 それまで仕事でなかなか芽が出ず、内心焦っていた氏が、マーケティングを「天職かもしれない」と感じたのは、面識がなかった社員から「マーケティング戦略を立てたいので、教えてほしい」と言われた時でした。

 それ以降、メキメキ成果が出て、マーケティング戦略アドバイザーとして独立したのが、51歳の時だということです(『「あなた」という商品を高く売る方法』永井孝尚著、2017年、NHK出版)。

 これが、他人の評価に注目するということです。

 

 以後、ご自身の仕事の反応を確かめた結果、「これはもしかして、この分野に自分の才能があるサインなのでは?」と思うことがあったとしましょう。そういう時は、まずはその仕事に注力する時間と量を増やす努力をしてみてください。

 その仕事量を増やすことで、評価も上がってくれば、徐々にその仕事に集中できるようになるでしょう。会社としても、成果を出す者には、その仕事に集中してもらったほうが望ましいですから。


 

 ありがとうございました。


 

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