こんにちは。俣野成敏(またのなるとし)です。

 

 金融庁による「高齢社会における資産形成・管理」の報告書が、世間に衝撃を与えてから早1ヶ月以上が過ぎました。とはいえ、その余波は依然くすぶり続けています。

 

 報告書の中で引用されている「フィデリティ退職・投資教育研究所 高齢者の金融リテラシー調査 2019年2月」というアンケートがあります。65〜79歳の1万2000人を対象に行ったこのアンケートによると、「退職金を受け取るまで、いくらもらえるのかを知らなかった」と答えた人が31.6%いました。

「定年退職前の半年以内に知った」人20.3%と合わせると、退職間近になるまで退職金の金額を知らなかった人が過半数を超えるという、驚くべき結果が出ています。

 

 少し前になりますが、2014年11月に野村総合研究所が行った別の調査があります。こちらは金融資産を保有する50〜70代の男女のうち、退職金を受け取った経験がある3270名を対象に行われたものです。

 それによると、「退職金で投資商品(株式、債券、投資信託等)を購入した」と答えた人が全体の43%を占め、さらに投資商品を購入する際、退職金のおよそ43%を充てていたことが判明しました。

 調査では、退職金で投資商品を購入した人に対して、いつから退職金の運用を考え始めたのかと聞いたところ、「定年退職をしてから半年以内」と答えた人が39%、「定年退職直前〜半年前」と答えた人が15%と、過半数の人が退職前後半年以内に運用を考え始めたことが明らかになっています。

 

 これらの結果から見えてくるのは、多くの方が、老後に対する準備を整えているとは言い難い状況のまま退職日を迎えている、という現実です。

 おそらく退職金を投資運用している大半の人が、金融機関から勧められた商品を、そのまま鵜呑みにして購入していることが容易に想像されます。

 そもそも、株式や投資信託といったハイリスク投資に、老後の貴重な生活資金であるはずの退職金を投じるべきではないからです。

 

 確かに、株式や投資信託などは、大きく値上がりする可能性のある商品です。しかしそれは、同時に値下がりするリスクもある、ということが言えます。

 もともと、老後の資産運用は「増やす」よりも「減らさない」ことが重要です。ですから、退職金をこうした“相場に張る”商品に投じること自体が、かなり危険な行為だということを認識しておかなくてはなりません。

 幾つになってもチャレンジ精神を持つことは悪いことではありませんが、労働収入がなくなった後で、こうしたハイリスク投資に多額のお金を投じることは、かなり博打に近い行為だと言えるでしょう。

 

 誰にでも当てはまる投資戦略というのはありませんが、共通している部分で言うと、

 

1、ハイリスク投資は投資予算の一部分にとどめる(すべてをハイリスク投資に投じない)

2、ハイリスク投資に投じてもいいのは、投資予算の10%以内を推奨

3、チャレンジはなるべく労働収入のあるうちに行い、老年に近くなるほど保守的な運用に切り替えていくことが望ましい

 

…というのが基本戦略になります。

 

 一般論をお話しするのであれば、現在、55歳を超えている方は、既存の制度で何とかなる世代だと言えるでしょう。この方々は、遅くとも70歳までには公的年金を受給できる見通しです。

 大変なのは、この年齢より下の人たちです。年金の受給開始年齢の後ろ倒しによって、何歳で年金が支給されるのかは、その時になってみないと何とも言えません。

 

 実際、この年代に当たる方々は、すでに待ったなしの状態です。

 これを聞いて、あなたが「どうしよう。何から始めたらいいのかわからない」と思われたのなら、もしかすると、この本がお役に立つかもしれません。

 

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 お金とご自身の老後が気になる方は、ぜひ一度、手に取ってみていただければと思います。


 

 ありがとうございました。