こんにちは。俣野成敏(またのなるとし)です。

 

最近、『金融審議会 「市場ワーキング・グループ」報告書』が連日、報道を賑わせています。

 

報告書は、56ページにもわたる長文ですが、内容を簡単に説明すると、「人生100年時代に向けた、マネープランの自助努力を促すもの」となっています。

 

2012年1月に国立社会保障・人口問題研究所が公表した「日本の将来推計人口」における「出生中位・死亡中位推計結果」によると、日本人の平均寿命は今後も伸び続け、2060年には男性84.19歳、女性90.93歳になるとの予測を発表しています。

 

その一方、若年人口と労働人口は減り続けており、仮に20〜69歳を現役世代、70歳以上を高齢世代と見なしたとしても、「2060年には1.6人の現役世代で1人の高齢者を支えることになる」見通しです。1950年時点では、10人の現役世代で1人の高齢者を支えていたところからして、明らかに財源が先細りしていることがわかります。

 

上記の報告書によれば、高齢夫婦(夫65歳以上、妻60歳以上)無職世帯の場合、平均して毎月約5万円の赤字が発生していると見られる、とあります。その不足分は、「預貯金などの金融資産で補う必要がある」との記載があり、「月々5万円の赤字が出ている場合、平均寿命までの30年余りを生きるには、約2000万円の蓄えが必要」との見解を示したことが、社会に大きな波紋を呼び起こしたのです。

 

あまりの反響の凄さに、たちまち金融相がこの報告書を実質撤回したことが、より事態の深刻さをうかがわせます。

 

しかし、私たちの老後を待ち受ける状況は、実際にはもっと深刻です。

 

「所得代替率」という言葉をご存知でしょうか?

所得代替率とは、将来もらえる年金水準が現役時代の平均給料の何%になるか、ということを示した数値です。所得代替率は、「将来の年金受給額÷現役時代の平均給料」という単純な計算式で求められます。

 

政府は、これまでサラリーマンが加入する厚生年金の所得代替率を、「100年後でも50%以上はもらえるように目指す」、としてきました。そのために、マクロ経済スライドという、社会情勢に合わせて年金の給付額を抑制する仕組みを2004年から導入していますが、これまでの発動は2回だけ。実は今年(2019年)がその2回目でした。指標となる物価も賃金変動率もプラスでしたが、そこを「0.1%の微増に抑えた」、ということです。

 

事態は、仕組みが正常に作動していないだけにとどまりません。

 

2014年の財政検証の際の、所得代替率は62.7%でした。当時、経済成長率を0.4%で試算し、「所得代替率が50.6%となる2043年には、年金の支給額の抑制期間は終わる」とされていました。実は、この所得代替率は、経済成長率が高ければ、支給額が抑制される期間も短くて済みます。しかし経済成長率がマイナスの場合は、抑制が長期間に渡って続き、しかも支給額は50%を下回ってしまう場合さえあります。

 

要は、政府は年金制度そのものを延命させるための手段として、あの手この手で支給を抑制し、支給開始年齢も遅らせようとしている、ということです。今後も、雇用延長を企業に要請しつつ、現在65歳の支給開始を「70歳」「75歳」「80歳」…と後ろ倒しにしていくことは明らかです。

 

「自分の老後は、本当はいくら必要なのか?」

「足りない分をどうやって補えばいいのか?」

「自分のためのマネープランを、どうやって組み立てていけばいいのか?」

 

もし、本ブログをご覧になって、「お金と自分の将来のために具体的に行動したい」という方がいましたら、よろしければ、お話を聞きにきてみませんか?耳寄りな話が聞けるかもしれません。
 

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ありがとうございました。