こんにちは。俣野成敏(またのなるとし)です。

 

今が「戦後最長と見られる好景気」だというのは、今ひとつ、実感に欠けるところがあるにせよ、それもどうやら陰りが見えてきたようです。

 

最長景気 強まる逆風 中国の景気減速で

https://www.nikkei.com/article/DGKKZO45287160V20C19A5MM8000/

 

こういう記事を読むと、「オレも何とかしなければ」とは思うものの、さりとて妙案もなく…。ここで、多くの方が考えるのが「せめて資格でも取っておけば」、ということではないでしょうか。

 

私もサラリーマン時代には、TOEICを取ったり、通関士の資格を取りました。学生の頃には、先輩に「就職に有利だ」と言われて、宅建の資格を取得しましたが、現在、それらはほぼ使っていません。海外主張の際に、英語を使う機会があるくらいです。これらの資格を取得するために使ったコストや時間などを考えると、恥ずかしながら、投資をした分に見合った回収ができているとは、言い難い状況です。

 

資格と言えば、知り合いの編集者の中に、元“資格マニア”という方がいて、かつては宅建や漢検、英検、簿記、江戸文化歴史検定、カラーコーディネーター等、少しでも仕事にプラスになりそうなものは、片っ端から取っていたそうです。でも結局、ほとんど使い物にならなくて、今はマニアをやめたのだとか。

 

ちょうどその方と、書籍の企画を練っている時にその話が出て、私が「でもカラーコーディネートなら役に立つのでは?たとえば書籍の表紙を考える際に、参考になりそうですよね?」と聞いたところ、ご本人曰く「それが、そうでもないんです。書籍というのは商品なので、美しいかどうかは関係ありません。目立つかどうかが大事なのです。カラーコーディネートというのは、色の組み合わせとか、美的センスを磨く資格なので」とおっしゃっていました。

 

やはり「趣味と実益は違う」、ということなのでしょう。

 

企画の打ち合わせに同席していたライターの方が、こんな話をしてくれました。その方が以前、取材で漢検協会(公益財団法人日本漢字能力検定協会)を訪れた時のこと。当時は協会が発足してまだ数年しか経っておらず、取材も「こんなことを始めました」「面白いですね」という、こじんまりとしたやりとりに終始したとか。その時は、まさか漢検がブームに乗って、こんなに大きな組織になるとは予想もしていなかった、という興味深いエピソードでした。

 

ところで、漢検をビジネス的に解説すると、協会の目の付けどころは、非常に良かったと思います。もともと、漢字は世の中にあったものですから、彼らが発明したものでは、もちろんありません。漢検が始まったのは1975年のことです。人気に火が着いたのは、文部省(現在の文部科学省)に財団法人として認可された1992年頃からで、2002年以降、毎年の受験者数は100万人を超えています(現在は公益財団法人)。

 

商材としての“漢字”が優れていた点は、

1、すでに世の中にあるもの

2、著作権などがない

3、普段から親しんでいるもの

4、人々の知的欲求にも応えられる

…という、絶妙なものでした。

 

ただ、その後の経緯を見る限り、この優れた商材を見出したのは、たまたまだったのかもしれません。協会は2009年に不祥事を起こし、創業者父子は背任罪で有罪が確定、24億円もの賠償命令が下されています。

 

結論を申し上げると、基本的に「資格取得はお客さんになる行為」だということです。「仕事で有利になるために取りたい」ということであれば、「会社から命令された」とか、「それを取らなければ昇級できない」など、切羽詰まってからで十分です。私の経験から言うと、新しいことを始めるよりは、すでに自分の中にあって、伸ばせばモノになりそうな能力を伸ばすほうがいいのではないか、と思う次第です。


 

ありがとうございました。


 

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