こんにちは。俣野成敏(またのなるとし)です。

 

多くのビジネスパーソンが誤解していることの1つに、「上司は仕事がデキる」という思い込みがあります。しかし私は、それは結果論に過ぎないと考えています。

 

どういう意味かと言うと、第一に、仕事ができない上司は思いの外、多くいます。部下の立場からしてみれば、「上司=仕事がデキる人」と思っていたのに、できないとなると「何でオレの上にいるんだ?」と腹が立ったり、「上司なんて言っても、実際はこんなもんだ(オレのほうがデキる)」と悦に入ったり。

 

とはいえ、部下の方が受け入れなければいけないのは、「上司の会社での評価は、自分よりも高い」という事実です。ここで「どうして」と言ったところで始まりません。もし、本当に「自分はこの上司よりもデキる」というのであれば、そのことを会社に対して証明する必要があります。

 

第二に、確かに目の覚めるように仕事のデキる上司もいるにはいます。しかし、その人とてスーパーマンではありません。実は、その上司が仕事がデキる理由とは、自分の長所と短所を熟知しているためです。つまり、上司は自分の長所で勝負し、短所を他人から見えないようにしているので、結果的に「この人は仕事がデキる」という評価を勝ち得ているわけです。

 

こう言うと、中には「もし、自分の苦手な仕事が回ってきた時はどうしているのか?」といったことを疑問に思う人もいるでしょうが、問題ありません。なぜって、そのために組織で行動しているのですから。要は、上司は自分ができなくても、部下にお願いすればいいのです。

 

だからといって、「何でもかんでも、ただ部下に仕事を振りさえすればいいのか?」というと、もちろんそうではありません。部下だって、「この人は、面倒臭いからこっちに仕事を振ってきているな」ということはわかりますし、そういう仕事は引き受けたくないものです。

 

通常、部下の方は無意識下で「この上司のためなら一肌脱いでもいい」とか「この人の頼みは聞きたくない」ということを値踏みしています。ですから、部下から「この人の言うことなら聞いてもいい」と思ってもらうには、上司は実力で相手を納得させなければなりません。自分の仕事が中途半端な状態で部下にすがっても、聞く耳は持ってくれないでしょう。

 

ポイントは、自分の長所で部下を納得させた上で、仕事を振る際にも、部下が長所を発揮できるような仕事を与えることです。こうすることによって、上司は自分の短所を愛嬌に変えることができます。“愛嬌”とはどういう意味なのか、説明しましょう。

 

これは、私の知り合いの経営者の話です。その人はベンチャーのワンマン社長で、普段、部下たちはその人についていくのがやっと、という有様です。ところで、その会社には毎年、鈴鹿のバイクレースに参加するのが恒例となっており、レースに出場する社長を社員総出で応援する決まりになっています。平時は会社でバリバリやっている社長ですが、年齢的な問題もあって、レース中は転ぶし体力もないし、いつもボロボロになるのだそうです。

 

しかし、その様子を見た社員たちは、仕事で自主性を発揮するようになり、それによって社内の結束が強くなった、というのです。これなども、社長がまずは仕事で魅せ、それから自分の弱みをさらけ出して愛嬌に変えた1例でしょう。部下に「この人も人間なんだ」と思ってもらえれば、それが突破口となります。逆を言うと、上司は自分の弱みを部下に茶化してもらえるようになれ、ということです。

 

現在、部下の立場にいる方は、「仕事のデキる上司とは、そもそも絶滅種並みに珍しい」ということだけでも、事前知識として知っていれば、少しはストレスも減るのではないでしょうか?


 

ありがとうございました。


 

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