こんにちは。俣野成敏(またのなるとし)です。

 

会社で働いていると、「自分の能力が正当に評価されていない」と感じることがあるのではないでしょうか。そういう時に、万一、他社からお呼びがかかったら…?

 

悶々としている時に、よその会社から「あなたには、ぜひ我が社でご活躍いただきたく」などと言われようものなら、心が傾くのが人情というものです。けれども、仮にここで「いよいよ、オレにもヘッドハンティングが!」などと、喜び勇んで会社を辞めてしまおうものなら、後で後悔することになりかねません。

 

そもそも、この場合は“ヘッドハンティング”ではなくて、“引き抜き”です。ヘッドハンティングというのは、通常は幹部クラスかそれに準ずる役職にある人が対象となります。いずれにせよ、本人にとっては「声がかかったことには変わりはない」ですから、喜ばしいことには違いありません。とはいえ、ほとんどの場合、引き抜きを仕掛けてきた会社は、即戦力を求めてそれを行っています。

 

これは逆に言うと、声をかけてきた会社は「自社では人を育てられない」、ということでもあります。自分で育てられないから、わざわざ他社の社員に声をかけているのです。つまり、「人材育成制度が整っていないような会社が、教育以外の福利厚生は整っている、という可能性は少ないのではないか?」という予測が立ちます。よって少々、今の給料よりも良くなるくらいで、安易に転職することは、避けたほうが無難のような気がします。

 

確かに、管理職でない人であっても、他社から声がかかることはあります。たとえば優れた技術を持っている人が、よそからの引き抜きにあうことは珍しいことではありません。しかし、その声がけが、本当に自分の実力を買ってくれてのことなのか、それともその会社の持つ欠陥を手っ取り早く埋めようとしているだけなのかを、見極めなくてはいけません。それに関しては、たとえばこんな話があります。

 

私の知り合いで、30歳までフリーターをしていた人がいます。その人は、何となくフリーターをしていたのではなく、きちんとご両親に「自分は30歳までフリーターをやる」と宣言していました。そして、いく先々で「ウチに来ないか」と声をかけられるほどに、突出した成績を残しただけでなく、いろいろな会社での経験が、今ではその人の貴重なリソース(資源)となっています。

 

「本当に、相手は自分の実力を買ってくれているのかどうか?」を知る良い方法の1つが、「複数の会社から声をかけられる」ということです。中には、「ここで転職しておかないと、次に声をかけてくれるところがないかもしれない」と思われる人もいらっしゃるかもしれませんが、焦る必要はありません。いざとなれば、周りが変化を教えてくれるものです。

 

実力が上がると、どのような変化が起きるのかと言うと、自分の人脈が広がったり、周りの声や発言が変わったり、といった何らかの兆しが現れます。

 

私はかつて、自分がビジネス書作家になるなど夢にも思っていませんでした。しかし、社内ベンチャーを立ち上げてから、徐々に周りの環境が変わっていきました。すると、「何で俣野さんは本を出さないんですか?」と周りから言われるようになりました。私のビジネス書作家のスタートは、ここから始まったのです。

 

もし、あなたが社外の人から声をかけられることがあったなら、私からのオススメとしては、「声をかけられたことに対しては、素直に喜ぶ」ことと、その上で「ポジティブに会社に残る」、という選択肢です。他社から引き抜きにあった理由を分析し、「それをさらに伸ばしていけるようにするにはどうしたらいいのか?」と考え、今後の行動に活かしていくことです。それができれば、今いる会社からも重要視されて、わざわざ転職する必要などなくなるに違いありません。


 

ありがとうございました。


 

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