こんにちは。俣野成敏(またのなるとし)です。

 

会社で働いていると、多くのことが自分の思う通りにはなりません。希望通りになることのほうが、むしろ少ないでしょう。ところが、中には自分の希望が叶えられなかったことを、「オレは期待されていないからだ」と捉えてしまう人がいます。

 

私は大学を卒業後、メーカーに新卒で入社しました。最初にやらされた仕事は、貿易実務の書類チェックでした。一日中、書類の間違いがないかどうかを、一字一句、確認する仕事です。海外貿易をする際に、LC(レター・オブ・クレジット)という英語で書かれている約定があり、それを商品出荷時に添付する必要があります。その書類が約定通りの記載になっているのかを目で追う仕事です。

 

その後、生産管理に異動になり、受発注の仕事を担当しました。それは、営業部門が取ってきた受注を、どこの工場にどれくらい割り振るか?といった仕事でした。どちらの仕事も、今にして思えば、まったく自分の適正に合っていませんでした。

 

実のところ、今やっているその仕事が、本当に自分に向いているのかどうかというのは、すぐにはわかりません。時には向いていないと思っていたことが、実際は自分に向いている仕事だった、ということはあります。いずれにせよ、「自分に向いていない」とはっきり言えるためには、まずは真剣に取り組まなくてはなりません。

 

もともと、工場というところは決められたことを決められた通りにやるのが任務です。予想を上回ることや、担当者の采配でできる余地があまりありません。ですから、基本的には誰がやっても同じはずなのですが、私の異動が決まった時に、営業担当者全員が、私の異動に反対しました。なぜそうなったのかというと、私が締め切り後も受注を受けていたからです。

 

営業にしてみれば、何とか数字を上げようとして、苦心して取ってきた注文です。一方、工場はルールに従って行動しています。締め切り後に持ってきた注文は、明らかにルール外のことですから、私の前任者は「次回にお願いします」と言って、後回しにしていました。それを私は、他の注文と抱き合わせたり、工場を稼働させるために、数を多くしてもらったりして受けていました。

 

もちろん、中にはできないこともありますが、たいていは何とかなります。このように、融通の効きにくい工場でも、やろうと思えばできることはあるのです。

 

たとえば、自分の目の前に2つの道があり、1つは自分の希望に続いており、もう1つはそうではないとします。多くの人は、ここで自分の希望した道に行けないと、「自分の希望は絶たれた」と考えます。

 

けれど、たとえ自分の希望していた道と反対の道を選んでしまったとしても、それで人生が決まってしまうわけではありません。元来、サラリーマンは持久戦ですから、いくらでも挽回するチャンスはあります。迂回するか、Uターンするか、そのままその道を行くのかはさておき、私は自分の経験上、どの道を選ぼうとも、いずれ必ず自分の希望する場所にたどり着けると思っています。

 

実際、配属とはその時の一時的な条件で決まっていることがほとんどです。「あそこの部署の人員が足りていない」「あっちのチームに退職者が出た」等々。要は会社の都合、ということになりますが、それは同時に、本人にとってはチャンス到来です。

 

もしかしたら、それこそが自分に相応しい仕事であるかもしれません。たとえそうでなかったとしても、これで「未来の選択肢から1つ消えた」のであれば、「また一歩、自分の希望に近づいた」、と言えるのではないでしょうか。


 

ありがとうございました。


 

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