こんにちは。俣野成敏(またのなるとし)です。

 

働き方改革関連法案が可決したとはいえ、相変わらず多くの人が、時間と場所を拘束される勤務を続けています。そうなると、以下のような問題も発生するでしょう。以前、私の元に寄せられた質問です。

 

質問:「俣野さん、こんにちは。私は、ある住宅販売系の会社に勤めています。質問は、社内にいる私の仲間たちについてです。私は、販売のためにお客さまをご案内したり、商品のご提案はもちろんのこと、それ以外にも販売後の処理作業や、上司への報告など、それこそ山のような仕事を抱え、いつも帰りは終電間際です。

 

その一方で、仕事の効率化とは正反対の存在だと思われるような同僚がたくさんいます。 彼らは、朝はのんびりと雑談から始め、そのペースで昼間も仕事をしているので、当然仕事は終わらず会社に居続けます。そして、決まって20時以降に話しかけてきて、私の仕事のペースを乱します。給料をもらうためだけにきているようなこの人たちに腹を立て、自分のペースを乱されているのもどうかと思うのですが、どのように対処したらいいでしょうか?」

 

このメルマガをお読みの方の中にも、ご質問の方のような状況にいらっしゃる方は多いと思います。実は、この一見、邪魔としか思えないような人たちが会社にいるのにはわけがあります。あなたは、「2:6:2の法則」というのを聞いたことがあるでしょうか。これは働きアリの法則とも言われていますが、集団には必ずバラツキがあり、自然と『優秀なものが2割、普通のものが6割、サボるものが2割』という構成になりやすい、という法則のことです。

 

不思議なことに、コロニーでよく働くアリだけを集めて一緒にしても、必ず一定数、働かないアリが現れ、逆に働かないアリだけを集めても、またその中で働くアリと働かないアリとに分かれるのだそうです。万一、全員で一斉に働くと、だいたい同じ頃にみんな疲れてしまい、代替え要員がいなくなってしまいます。多様な存在がいることによって、集団に汎用性を持たせているようなのです。

 

事例をお話しましょう。私の知り合いの話ですが、その人が独立して会社を立ち上げた時に、数人のやる気のあるメンバーが、その人を慕って会社を辞め、知人とともに理想の会社づくりに燃えていました。ところが、募集に応じて入ってくる新人は、平凡な人だったり、やる気のなさそうな人たちばかり。

 

知人を慕って付いてきたメンバーは、「こんなやる気のない面子ばかりでは、理想の会社がつくれない」と知人に訴えましたが、知人は「こういう人たちを社員として使うことができなければ、会社として成り立たない」と言いました。それを聞いたやる気メンバーは、全員、腹いせに辞めてしまいました。後にはやる気のない者だけが残されたはずでしたが、不思議なことに、その中から次のリーダーが現れて、ちゃんと会社が機能し出したのだということです。

 

話を質問に戻しますと、残念ながら質問された方が人事権でも持たない限り、その同僚の方をどうにかすることはできません。ですから、どうしてもご自身のお仕事に影響を与える、というのであれば、たとえばその時間は席を外すとか、外回りをする、重要な仕事は前もって終わらせておく、などの対処法しかないでしょう。もしくは、実力で同僚たちの邪魔が入らないポジションに行く、というのもいいかもしれません。

 

質問された方の会社でサボっている2割の同僚も、「実は自然が醸し出した微妙なバランスの上に存在しているのかもしれない」と思えれば、少しは大目に見てあげよう、という気になるかもしれませんね。


 

ありがとうございました。


 

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