こんにちは。俣野成敏(またのなるとし)です。

 

私たちは、いい意味でも悪い意味でも、これまで受けてきた教育の影響下にあります。いい面で言えば、たとえば学校で「真面目に一生懸命やること」や、「周りと協調することの大切さ」を学びました。社会で生きて行くには、時として粘り強さや、仲間と協力する姿勢が不可欠であるのは言うまでもありません。

 

教育の悪い面で言うと、私たちは長い期間に渡って、上から与えられることに慣らされてきた、という点が挙げられます。そのため、学校を出た後でも、長年の癖から“待ちの状態”でいる人が多いような気がします。会社は学校ではありませんから、当然、上司も部下の先生ではなく、指導役でもありません。なのに、調べれば分かるようなことですら、上司に聞いてしまう人が少なくないのは、正に学校教育の弊害だと言っていいでしょう。

 

一例を挙げると、サイバーエージェントの社長である藤田晋(すすむ)氏は、24歳で起業し、26歳で東証マザーズに上場、最年少上場記録を塗り替えた人です。これだけの人ですから、自分でもワンマン社長にならないよう、常に注意しているそうです。しかし気を緩めると、自然と社内に“イエスマン”が生まれてくるのだ、と言います。

 

思うに、イエスマンが生まれてしまう背景にも、現在の学校文化が影を落としているのではないかと考えます。藤田氏は、部下から「これ、やっていいんですか?」などと言われようものなら、つい「勝手に決めて勝手にやってくれ」という言葉が口を衝いて出そうになるのだとか。部下は、上司の指示通り動いているうちに、自分の思考を止めてしまい、「なぜ自分がそれをやるのか?」を考えなくなっていく、と言うのです。

 

部下に言わせれば、「勝手にやっていいかどうかわからないから聞いているのに」という気持ちでしょう。けれど、業務のすべてを社長1人に集中させるわけにはいきません。それに、部下の立場からしても、ただ単に上から言われたことをやっているだけでは、仕事が味気なくなってしまうに違いありません。たとえ少しずつでもいいから、自分が決める範囲を広げていくことが、仕事の醍醐味なのではないでしょうか。

 

私はサラリーマン時代、自分の仕事として割り振られている範囲外の仕事にもしょっちゅう手を出し、先輩や上司から「これはお前の仕事じゃない」と怒られていました。しかし逆を言えば、たったそれだけのことです。余計な仕事をしたからといって、普通はクビになるようなことはありません。もちろん、会社に損害を負わせるようなことをしたり、本来やるべき仕事を疎かにして、他のことに手を付けたりしては本末転倒ですが、そうでなければ通常は問題ありません。

 

自分の仕事を広げるコツとしては、上司の仕事ぶりを観察し、上司の仕事がしやすくなるようなフォローを入れることです。相手のツボにハマれば、「助かるよ。だったら次は、これをお願い」となるかもしれません。

 

そもそも「部下の仕事とは、上司の仕事を減らすこと」です。私は、常々これを「上司は仕事の仕入先」だと表現しています。私たちが働くのは、価値を生み出して、それを顧客に販売し、糧を得るためです。学校では、私たちは一方的な受け手に過ぎませんでした。しかし社会に出れば、基本は与える側に回るのです。

 

実は、自分から与えるものが多ければ、それだけ戻ってくるものも多くなります。この法則を知り、実行すれば、その成果に驚くに違いありません。差し当たり、与える相手とは直属の上司と考えて間違いないでしょう。よかったら、ぜひやってみることをオススメいたします。


 

ありがとうございました。


 

★俣野成敏最新セミナー★

http://www.matano.asia/seminar/