こんにちは。俣野成敏(またのなるとし)です。

 

以前のメルマガで、「自分の勝てる分野で勝負する」ことについてお話しました。その上で、自分の得意分野を見つける方法として「結果を見る」「他人と比較する」「セカンドオピニオンに聞く」の3つを組み合わせることだ、とお伝えしました。

 

仮に自分が一流になれる分野を見つけたとしても、実はそれで終わりではありません。一流になることと、「そこにマーケットがあるかどうか?」というのはまた別の話だからです。

 

たとえば、自分の勝てる分野で勝負する戦略として、元GE(ゼネラル・エレクトリック)の名経営者、ジャック・ウェルチ氏が提唱した「ナンバー1、ナンバー2」戦略があります。ウェルチ氏は当時、非効率に陥っていたGEの改革を断行し、同社を強い企業へと蘇らせました。

 

ところがそのGEが今、試練に直面しているようです。

 

GEが最終赤字1兆円 

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO26108270V20C18A1MM8000/

 

昨年(2017年)8月、ジャック・ウェルチ氏の後任で16年間、GEのCEOを務めたジェフ・イメルト氏が退任。代わってジョン・フラナリー氏が新CEOに就任しました。

 

イメルト氏がCEOを務めた16年間は、グーグル、アマゾン、フェイスブックといった、最新のITを駆使したベンチャー企業が世界的企業へと変貌を遂げる時期と重なっていました。GEもその間、IOTの分野やITソフト事業などに力を入れてきましたが、ここへきて見直しを迫られる事態となっています。

 

ここで言いたいのは、「GEのような選りすぐりの人材を集めた世界的企業であっても、“世の中の趨勢”と“自社の強み”を一致させるのは容易なことではない」ということです。

 

この事例を自分のことに置き換えた場合、自分が一流になれる分野を見つけて、それを成功につなげるためにはどうしたらいいのでしょうか?そのヒントを、先のウェルチ氏の言葉から拾ってみましょう。氏は勝ち残る事業の条件として、

 

(1)市場でナンバーワンかナンバーツーになる

(2)他社と差をつける優秀な技術を持つ

(3)ニッチ市場で優位性を発揮できる

の3種類のいずれかしかない、と述べています。

 

この言葉は企業だけに限らず、個人に対しても十分応用が可能です。GEの場合は規模も大きく、ステークホルダー(関係者)も膨大な数になるため、大きく稼げる市場が必要となるでしょう。しかし私たちの場合は、それよりはずっと小規模でも構わないわけです。

 

大切なのは「自分の市場はどこなのか?」という見極めです。たとえばベンチャーなどで、まだ経営基盤の弱いところなどは、(3)に特化するといいのではないでしょうか。大きく成長したいのであれば、(3)→(2)→(1)とステップアップしていくのもいいかもしれません。

 

結局、顧客とは相対的に評価するものです。ですから「誰と比較されるか?」「ライバルがどれだけいるか?」というのがポイントになってきます。自分の市場を見つける方法としては「小さな需要に耳を澄ませ、それに応える」か、もしくは「日本がダメなら世界」といったように「市場を変えてみる」、あるいは「昔の良さを現代風にアレンジする」、といった方法があるでしょう。その一例として「アナログレコード」があります。

 

国際レコード連盟の調べによると、2014年のアナログレコード市場規模はグローバルで3億4680万ドルとなっており、日本でも2016年のレコード生産実績が対前年121%増となるなど、世界的な盛り上がりを見せています。これなどは、ニッチ市場が広がりを見せた好例と言えるでしょう。

 

ウェルチ氏の思想の根底を流れているのは、「勝てないことで努力をするのは無駄なことだ」という徹底した現実主義です。しかしそれは決して努力を否定するものではなく、むしろ「努力を結果に結びつけることこそが大切だ」という力強いメッセージなのです。


 

ありがとうございました。


 

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