こんにちは。俣野成敏です。

 

今、日本中に「一生懸命頑張っています」病が蔓延している気がしてなりません。これってどういう意味だと思いますか?

 

これは私のセミナー受講生から聞いた話です。Aさんは法人を経営していますが、社員は自分一人しかいません。先日、会社の決算を終え、法人税を支払いました。ところが2ヶ月経った頃に、支払ったはずの法人税の督促状が届きました。

 

翌日、Aさんが振り込んだ銀行に調べてもらいに行くと、課長が自ら対応してくれました。しかし「当行での処理は済んでいますので、確認します」と言って30分も待たせた挙句、「まだ原因が判明しません」との返事。Aさんは呆れて、「きちんと処理し、役所に連絡して処理が済んだら電話してください」と帰ってきてしまいました。

 

結局、役所内の手作業に漏れが出ていたことが原因だとわかりましたが、銀行の課長はご丁寧にも「役所の上長に、今からお詫びの連絡を入れさせます」と手配してきました。Aさんにとって、誰がミスしていようが関係ありません。ただ、物事をきちんと処理してくれればそれでよかったのです。銀行の課長は一生懸命、顧客のために仕事をしているように見えて、実際は顧客の時間を奪っていることに、まったく気づいていないのでした。

 

今度は、私の事例をお話しましょう。私は外食が多いため、ある飲食チェーンの会員になっています。この会社は多くの業態を持っていますので、ここであればいろんな料理が楽しめて、しかも利用すればするほどサービスが良くなるはずでした。

 

ある日、自主開催のセミナー後の懇親会として、いつものように秘書に会場の予約をしてもらったときのこと。セミナー会場近くのお店を紹介してもらい、予約を入れる際に、2時間の枠を少し延長してもらえないかと頼みました。

 

私のセミナーの懇親会は参加者が多いため、2時間きっちりでお店を出ることがなかなかできません。延長はご参加いただく方に気持ちよく利用していただくための処置で、お店もたいていは応じてくれます。ところが、今回に限って、その店の店長から即、却下の返事がきました。「他のお客様の手前があるから」というのが理由でした。

 

もともと、そのお店の営業時間は23時半までで、我々の予約は23時まででした。最後の30分に利用客が大挙して押し寄せるとも思えません。融通の利かない店長のお店に大事なお客様をお連れするのは気が気ではありませんでしたが、店長とは打って変わって、スタッフの印象は極めて良好なものでした。結局、23時に終宴した後、片付けしながらの滞在にも、嫌な顔をすることはありませんでした。

 

銀行の課長にしろ、このお店の店長にしろ、言われたことを真面目にきっちり行うことには長けているのだと思われます。マニュアル仕事は得意なのでしょうが、状況がそこから少しでも逸脱すると、途端に判断することができなくなってしまいます

 

今、多くの商売が「売れない」「顧客が買ってくれない」理由として、「不景気だから」「商品に魅力がないから」「会社のやり方が間違っているから」といったことを挙げる人がいます。しかし本当の問題は、たいていは売る人が「顧客のことを理解していない」ために起こります。会社は本来、マニュアル仕事をやってくれる人に賃金を払いたいのではありません。顧客のために行動してくれる人にお金を払いたいのです。

 

仕事とは、会社に用意されたリソース(資源)を使い、「いかに顧客を喜ばせるか?」に知恵を絞ることです。顧客のリピート率は売上を上げるための必須条件ですが、それは自然に起こるものではなく、また偶然の積み重ねでもありません。「これでリピートしなければどうかしてる」という必然のもとで起こるものなのです。

 

今日のお話が、あなたのお仕事の参考になれば嬉しく思います。

 

 

 

ありがとうございました。

 

 

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