こんにちは。俣野成敏です。

 

最近、手取り収入が増えないことを背景に、人々の間で注目されるようになっているのが「投資」です。とはいえ、まだ実際には踏み込めずに二の足を踏んでいる人も多いのではないでしょうか。

 

そういう人にオススメしたいのが、まずは「自己投資をする」ことです。実のところ、投資の中でももっとも手堅いのが“自己投資”です。自分に投資をすることによって、一生もののスキルが身につき、自分の頑張り次第で高い効果が見込めます。

 

しかし、ここで注意したいのが「的外れな投資」です。私たちはつい、「仕事でパワーポイントを使うから、じゃあパワポを勉強するか」とか「この資格も取っておけば、いつか役に立つかも」といった調子に、あれもこれもと欲張りがちになります。けれど大事なことは、あくまでも「自分の付加価値を上げるもの」に集中して投資を行うことです。

 

実はこの方法は、企業でも行なわれています。有名なもので言うと、ゼネラル・エレクトリック社(GE)の元CEO、ジャック・ウェルチ氏が提唱した「ナンバー1、ナンバー2戦略」というのがあります。

 

 

1981年にCEOに就任したウェルチ氏は、「市場において将来的にナンバー1かナンバー2になれない事業は、すべて撤退か売却するなどして処分する」という方針を打ち出します。当時のGEの経営は決して悪いものではなかったにもかかわらず、氏はこの方針に則って100以上の事業を売却し、10万人以上の人員削減を断行、当初は批判を浴びます。

 

特に、それまでGEの代名詞とされてきた家電部門を売却する際には、社内の強硬な反対を受けましたが、ウェルチ氏は自らの戦略を忠実に実行します。こうして、同社は経営をスリム化させ、その分の資金を「21世紀の成長分野」と目されたジェットエンジンや次世代プラスチックなどに集中投資。これによって会社は大きく成長し、企業再生を果たした氏は「20世紀最高の経営者」と謳われるまでになりました。

 

しかし、この話には後日譚があります。2001年、新CEOに就任したジェフ・イメルト氏は、ウェルチ氏が育てたプラスチック部門を2007年にサウジアラビアの会社SABICに116億ドルで売却。もともとプラスチック事業は、イメルト氏の専門分野でもありました。

 

この話から私たちが学ぶべきなのは、

(1)限られた資源を勝てる分野に集中すること

(2)勝てない分野は、躊躇なく捨てること

の2点です。

 

「ナンバー1、ナンバー2戦略」で有名なのは(1)ですが、実は大切なのは(2)です。人は、どうしても「自分がこれまでやってきたことを無にしたくない」という思いが働きます。だから「ここでは一流になれない」と気づいても、その行動をやり続けてしまいます。そうやって、自分の時間と労力を無駄にしてしまうのです。

 

GEが企業再生を果たしたのは、本当は(1)よりも(2)ができたからです。それまで勝っていた家電を切り離し、歴代CEOが育ててきたプラスチックも、1位になれないと見るや売却しました。

 

GEの根底にあるものとは、「勝てないところで努力するのは無駄なことだ」という思想です。大事なのは、自分が一流になれる分野を見つけ、そこで妥協しないことなのです。

 

もし、あなたが「自分の強みがわからない」ということであれば、勇気を持って探してみてください。つまり「これが自分の長所なのではないか?」と思われる分野で、間違いを怖れずに、思いっきりやってみることです。

 

「やってみて間違っていたらどうしよう」と言っていては、いつまで経っても自分の強みを見つけることはできません。無駄がどれかを知るためには、無駄かもしれないことを今、やることが大切なのです。


 

ありがとうございました。


 

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