こんにちは。俣野成敏です。

 

先日、マレーシアに出張に行ってきました。日本では、どこへ行っても価格が

明示されていて、値段交渉をするといったことはほとんどありません。けれど

東南アジアなどに行くと、果物一つを買うにしても、価格交渉が当たり前に行

われています。確かに値段が決まっていれば、安心だし便利です。そのせい

か、日本人はビジネスの現場でも、値段交渉を苦手とする人が結構います。

 

「何に対してどれだけのお金を支払うのか?」というのは、商売の根幹を成すだ

けあって、とても難しい問題です。

 

 

ビジネス関係の場合は、お互い値段と自分の得られるメリットとを天秤にかけ

ながら、価格の折り合いをつけていきます。しかしこれが身内同士になると、暗

黙のうちに「相手は最低限の利益で便宜を図ってくれる」という認識になり、両

者ともに特に交渉もせずに「底値で出し」「それを受ける」ということが当たり

前のように行われています。

 

身内同士での取引は、ただでさえ格安となっているのに、「さらに値引き交渉を

するのは図々しい」と考える人もいるかもしれません。ですが、私はそうは思い

ません。本来ならば、外でもっと安いところを探してもいいのに、あえて身内を

選んでいるのですから、それ相応のメリットがなければ意味がない、ということ

です。

 

私の知人でサラリーマンをやっている方がいるのですが、その方が海外にある

連結子会社の担当になった時の話です。前任の担当者は、海外は日本と物価も違

い、当地の相場も知らなかったため、ほとんど価格については触れることなく、

いつもそのままスルーして会社に決済を申請していました。

 

ところが担当が知人になってからは、簡単な値引き交渉を行うようになりまし

た。やり方も「この材料は高いので、別のものにできないか?」「これを現地メ

ーカーの安いものに替えられないか?」と相手に無理のない範囲での交渉を始

めました。すると子会社の担当は、嫌がるどころか見積も比較的早く出してくる

ようになり、かえって今までよりも積極的にコミュニケーションを取るように

なりました。

 

それまでは、いくらで見積っても日本の本社が額面通りに払ってくれるため、現

地担当にとっては「自分たちで価格を決め放題」の状態でした。それが知人にな

り、価格交渉を始めたことで、現地担当は「親会社は自分たちのことを真剣に考

えてくれている」と感じたようでした。

 

もともと「身内だから値切るのは悪い」「相手はやってくれているだろう」「ケチ

だと思われたくない」といった考え方は、すべてこちらの思い込みにすぎません

たとえ本当にそう思われたとしても、値引き交渉に応じるということは、応じて

もまだ自分たちにメリットがあるからこそ交渉の席に着いています。

 

価格交渉は知識を要します。また、相手の出方を見ながらの攻防戦を行わなけれ

ばならないでしょう。ですが、本気でビジネスを行う場合には避けて通ることの

できない道でもあります。自分の支払える価格と相手の掲示する価格に差が出

ることはよくあることです。

 

結局のところ、会社に貢献する方法とは、売上を上げるかコストを下げるか、も

しくはその両方かの3通りしかありません。あなたも、いつか社内で

「あの人が取引を担当したから、この案件でこれだけの利益が出せた」と言われ

るようになれれば、それだけ「替えの利かない人物に近づいている」と言っても

過言ではありません。


 

ありがとうございました。


 

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