こんにちは。俣野成敏です。

お金の本を出したからでしょうか。
ここのところ、よくマイナス金利についての質問を受けます。


マイナス金利とは、
銀行が日銀に預ける当座預金に対して
日銀が手数料を徴収する政策です。

今までは年率0.1%の利子がついていました。

たとえ0.1%といえども、
1兆円を預ければ年間10億円になります。

今後はこれがなくなるわけです。

既存残高に対しては今まで通り0.1%の利子が付きます。

マイナス金利は2016年2月16日から適用が始まりましたが、
仮に2月の当座預金残高合計を260兆円とした場合、
そのうちの約10兆円にマイナス金利が適用される見込みです。


これまではこの0.1%の金利が、
各銀行が国債買い入れに協力する際のインセンティブとなっていました。

以後はこのインセンティブがなくなるのに、
国債の買い手はいるのでしょうか?



2月2日に財務省で行われた
10年物国債の落札利回りは平均で0.078%となり、
前回の入札(0.254%)と比べて大幅に低下しました。

利回りが低下したということは、
その分国債の値段が高くなったということです。

わかりやすく説明すると、
たとえば額面100円の国債に最初の金利が1%だったとします。

しかし競札した結果
価格が200円に上昇した場合でも、利息は1円で変わらないため、
実際の金利は0.5%に低下することになるのです。


2月9日には、市場で日本の10年物国債の利回りが初のマイナスに転落。
先進7カ国(G7)では前例がない事態だそうです。

フィナンシャル・タイムズ紙は
「今や世界の国債の4分の1がマイナス金利国債である」と報道しています。

またバンクオブアメリカ・メリルリンチの統計によると、
世界では市場の21.1%にあたる8兆7000億ドルの債券が
マイナス利回りで取引されているという結果が出ています。

マイナス金利でも国債が売れる理由は
タンス預金にしておくよりもコストが安く、安全だという考えから
です。

巨額のお金を動かす金融機関にとっては、
現金を保管するのにもコストがかかりますが

国債ならば電子化もしているし、担保として使うこともできます。


日本では、大規模な金融緩和の下、
日銀が今後も大量の国債を買い入れると見られており、
そこで売却する際の利ざやが見込めます。

マイナス金利を導入したことで、
今後も国債は値上がりしていくと予測されており、
落札利回りの低下傾向は以後も続くだろうとされています。

財務省は10年物国債を毎月1回、2兆4000億円の入札を行い、
年間で28兆8000億円を調達することにしています。


これまで日銀は大量の貨幣を供給して
インフレを起こそうとしてきましたが
必ずしも上手くいってはいません。

企業も銀行も、資金を投じることに及び腰になっています。

「こんなときは使わずに、お金をためておこう」
と考えがちになりますが、それが安全とは限りません。

行動しないこともリスクなのです。



お金の置きどころの選択肢は、国内から更に減ってきてます。
日本の生命保険や年金商品などは、この先さらに金利が下がるでしょう。

知っているか知らないかで、
生き残るのに大変な時代になってきた
と感じています。


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ありがとうございました。